俺が部屋を出た時、メンバーたちが集まっていた
何やら心配そうに向こうの方向を見てたから
俺も無意識にそっちを向いた
そこにはフラフラしてるあなたがいた
これは危ないって思ったから
俺は咄嗟に体を動かし
あなたのもとへ向かおうとした
あなたちゃん!!
あなた!!
俺も知らないうちにあなたと呼んでいた
そんなことよりも先に
あなたは地面に倒れた
辛そうな顔をして
意識は無くなっていた
俺はすぐにあなたを抱えて、
事務所内のことも構わず、救急車を呼んで壱馬にも連絡した
壱馬もすぐに来るって
そのあと数分して救急車が来てあなたが運ばれた
私はまた迷惑をかけてしまった
しかもみなさんがいる前で
玲於くんとは喧嘩しちゃって
辛くて、不安で、怖かったけど
それよりも自分の意識が遠退いていくことにすごく恐怖を感じた
最後、玲於くんの心配する顔を見て、意識を手放した
あなた!!って必死で名前を叫んで
目覚めたら隣には玲於くんがいるかな
それとももうこのまま目覚めないのかな
そう思ってると
また名前を呼ばれる感覚があった
目を開けると…
玲於くんはちゃんと私の隣にいてくれた
私も気付いたらそう呼んでた
ガラガラガラガラガラ
病室の扉が開いた
いつもの先生、私の主治医
小声で呟いた玲於
お願いだから玲於も自分を責めたりしないでね
先生は病室を出ていった
それより少し後におにいは飲み物を買いに出ていった
きっと気を遣ってくれたんだと思う
そう言いながらちゃんと抱きしめてくれた
またお互い笑えた
他愛もない会話でも
愛情たっぷりの会話でも
私たちはなんとかやっていけそうと
今思った
また涙が溢れたけど、玲於の大きな手で
その涙を優しく拭ってくれた
ちょうどそこにおにいも戻ってきて
全員分の飲み物を買ってきてくれて
他愛もない会話してたら、辺りは夜になってた
そして玲於とおにいは帰っていった
おにいは名残惜しそうに私の方へと振り返ろうとすると、玲於が止めて連れていっちゃった笑
こんなに自然に笑えたのは玲於くんと出逢ってから
本当に幸せ
そう思いながら、気付いたら夢の世界へ行ってたみたい
それからの数日の検査入院も終えて、
私は無事に退院することができた
薬もちゃんともらったし、
異常はないって言われたから安心した
さてさて、帰りますか
そう私は玲於に言い寄った
すると玲於は…
…????
そ、そりゃあね
相手の家に行くには緊張するでしょ
色んな意味でさ
なにこんなこと思ってんだろ
玲於そっと私の手を引き、歩き出した
歩くと同時に横をゆっくりと吹き抜けていく風
その風が私の髪を靡く
今の私の気持ち、ドキドキしてて、なんかちょっと不安で、緊張までしちゃって、
でもちょっと嬉しかったり…?
玲於、この手を離さないでね
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。