「美南!帰るよー!」
放課後、私の名前を真っ先に呼んだのは瑠菜だった
「うん!」
私たちは教室を出て混雑している廊下を抜け校舎を出た
瑠菜は中学で初めて声をかけてくれて友達になった子だった
私は物凄くシャイだから心強い友達だった
海人と居るとき以外私は瑠菜と居ることがほとんどだった
それ以外の人と話すことが苦手だったという方が正しい
「海人どうしたんだろうね、、、」
学校近くの田んぼ道を歩いていると瑠菜はそう言った
私はその名前を聞くだけで胸が苦しくなり何も言うことが出来なかった
「あ、ごめんね、美南、、、
ただ海人も美南のこと大切に思っていたのに連絡1つも無いだなんて。」
「んーん、謝らないで」
こんなにも簡単に泣いてしまう自分が情けなかった
この帰り道、いつもは瑠菜と女子トークをしてそれを突っ込むのが海人の役割だった
でももう海人は居ない
帰り道の徒歩20分
なぜか田んぼ道が広くて長く感じた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!