朝日が城下町の大通りを照らし、人通りがどんどん多くなっていく…。
私はエマ。バルキリー王国にあるパン屋の娘だ。隣には兄のロディがいる。
お兄ちゃんは、お城でコックとして働いている。だから、普段は一緒に居られる時間が少ないから二人で話せる場所に行きたいと思ったのだ。
用意が終わった私達は、歩きで森のカフェヘ向かった。…でも、何かがおかしい。道は正しいはずなのに、カフェにたどり着けないのだ。
私は怖くなって、お兄ちゃんに帰ろうと言った。けど、お兄ちゃんは
と、言って聞いてくれない。私は怒った。
私は、帰り道を走って行った。…しかし、
私が走って行った先にはロディがいた。正確に言うと、私が走って行った方向とは逆方向から私は来たのだ。
怖いよ、帰りたいよ…。こんなの、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ…。
バタン!私の意識は、そこで途切れた…。
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………。
私は、目を覚ました。辺りを見渡してみると、とても豪華な部屋にいることがわかった。
私が起きたことに気づいたお兄ちゃんが駆け寄って来た。お兄ちゃんは服が所々破け、たくさんの傷から血が出てきていた。
お兄ちゃんからこれまでのことを教えてもらった。私が倒れたあと、お兄ちゃんは私を背負って建物を探し回ったのだそう。その間に、たくさん怪我をしたのだという。そして、このお屋敷にたどり着いたと。
トントントン!誰かがドアをノックする音が聞こえた。
ガチャ!と、ドアが開く音と共に一人の女の人が入ってきた。
私は、今までのことを簡単に話した。
うぅ…。でも、私のためなんだし…。
しばらくして、メアリーとお兄ちゃんが部屋から出ていった。よし、少し状況を整理しよう。
なんで私達はここへ飛ばされたのだろうか…。多分、魔法かなんかで飛ばされたんだろうけど…。よく、わからないなぁ…。
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………。
どうやら私は寝てしまっていたようだ。窓の外を何気なく見てみた。
外は吹雪だった。
私は走って部屋を飛び出した。部屋をでると、広間ヘ続く階段を駆け下りた。私は、まだ知らない。これが悪夢の始まりだったということを…。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。