第2話

序章 始まり
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2019/10/20 22:09
 朝日が城下町の大通りを照らし、人通りがどんどん多くなっていく…。

 私はエマ。バルキリー王国にあるパン屋の娘だ。隣には兄のロディがいる。
エマ
エマ
お兄ちゃん!今日はお城に行かなくていいの?
ロディ
ロディ
今日は休みの日なんだ。だから、今日は一緒に散歩にでも行く?
エマ
エマ
行く!エマ、森にあるカフェに行きたい!
お兄ちゃんは、お城でコックとして働いている。だから、普段は一緒に居られる時間が少ないから二人で話せる場所に行きたいと思ったのだ。
ロディ
ロディ
じゃあ、はやく用意して行こっか!
エマ
エマ
わかった!
 
 用意が終わった私達は、歩きで森のカフェヘ向かった。…でも、何かがおかしい。道は正しいはずなのに、カフェにたどり着けないのだ。
エマ
エマ
ねぇ、お兄ちゃん。おかしいよ。そろそろカフェが見えてくるはずなのに…。
ロディ
ロディ
だ、大丈夫だよ!き、きっとすぐに見えてくるよ!…多分。
エマ
エマ
多分って何さ…。もう、帰ろう!変だもん!
私は怖くなって、お兄ちゃんに帰ろうと言った。けど、お兄ちゃんは
ロディ
ロディ
大丈夫だよ、大丈夫!さっ行こう!
と、言って聞いてくれない。私は怒った。
エマ
エマ
もういいもん!エマ、一人で帰る!
ロディ
ロディ
あっ、ちょっと…!
私は、帰り道を走って行った。…しかし、
ロディ
ロディ
えっ?!
私が走って行った先にはロディがいた。正確に言うと、私が走って行った方向とは逆方向から私は来たのだ。
エマ
エマ
どういう…こと?
ロディ
ロディ
どうなっているんだ…?
怖いよ、帰りたいよ…。こんなの、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ…。
エマ
エマ
いやぁぁぁぁぁぁああああ!
ロディ
ロディ
え、エマ!落ち着くんだ!エマ…!
エマ
エマ
嫌だ…怖いよ…!
バタン!私の意識は、そこで途切れた…。
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………。
エマ
エマ
ん…?
私は、目を覚ました。辺りを見渡してみると、とても豪華な部屋にいることがわかった。
ロディ
ロディ
エマ…!
私が起きたことに気づいたお兄ちゃんが駆け寄って来た。お兄ちゃんは服が所々破け、たくさんの傷から血が出てきていた。
エマ
エマ
お兄ちゃん?!その傷…どうしたの?あと、ここ…どこ?
ロディ
ロディ
あのね、エマ…
お兄ちゃんからこれまでのことを教えてもらった。私が倒れたあと、お兄ちゃんは私を背負って建物を探し回ったのだそう。その間に、たくさん怪我をしたのだという。そして、このお屋敷にたどり着いたと。
エマ
エマ
エマ達、帰れるんだよね?大丈夫なんだよね?
ロディ
ロディ
あぁ、大丈夫だ。それに、この屋敷には所有者の人もいるしな。
エマ
エマ
本当?!じゃあ、エマ達は助かるんだね!
トントントン!誰かがドアをノックする音が聞こえた。
ロディ
ロディ
入ってどうぞ。
メアリー
メアリー
じゃあ、入るわね!
ガチャ!と、ドアが開く音と共に一人の女の人が入ってきた。
エマ
エマ
あなたは…?
メアリー
メアリー
私はこの屋敷の主人のメアリー・ホワイトよ。メアリーって呼んでね。
エマ
エマ
エマはエマ・ルミディアです!エマって呼んでください!さっきはありがとうございました!そういえば、今は何時なんですか?
ロディ
ロディ
えっと…午後1時だよ。かなり長い間、エマは眠っていんだね。
エマ
エマ
午後1時?!エマ、そんなに長い間眠っていたんだ!
メアリー
メアリー
まぁ、起きたんだからいいじゃない!…ところであなた達、どうするの?ここから城下町までかなりかかるけど…。
ロディ
ロディ
何時間ぐらいかかるんですか?
メアリー
メアリー
えっと…。3、4時間くらいかな。
エマ
エマ
ど、どういうこと…!エマ達はいきなりここへ飛ばされたっていうの?!
ロディ
ロディ
僕もわからないよ…!
メアリー
メアリー
いきなり飛ばされたってどういうこと?!その話、詳しく聞かせてくれる?
エマ
エマ
まず、最初にね…
私は、今までのことを簡単に話した。
メアリー
メアリー
そんなことが…。前からここら辺はおかしな所だったけど、こんなことは初めてだわ。
ロディ
ロディ
おかしな所?
メアリー
メアリー
お化けが出たりだとか…。
エマ
エマ
やめて、やめて!エマ、怖いから…。
ロディ
ロディ
でも、今日は帰れなそうだね。エマの体が心配だし…。
エマ
エマ
エマは大丈夫だもん!大丈夫!
メアリー
メアリー
ですが、ロディさんの言う通りエマさんが心配です。また、倒れたら困りますもの。よかったら、この屋敷に泊まっていきませんか?料理ならば私も作れるので。
ロディ
ロディ
そうさせてもらおっかな。エマはいい?
うぅ…。でも、私のためなんだし…。
エマ
エマ
それでいいよ。でも、明日は早朝に出発ね。いい?
ロディ
ロディ
いいよ。それじゃあメアリーさん。今日は泊まらせていただいてもいいですか?
メアリー
メアリー
わかったわ。部屋はたくさんあるから好きな部屋を使っていいわよ。
 しばらくして、メアリーとお兄ちゃんが部屋から出ていった。よし、少し状況を整理しよう。
エマ
エマ
まず、最初に私達は森のカフェに行こうとして森に入ったと。そしたら私達はいきなりここら辺に飛ばされて、エマが気を失ったと。その時間は…10時くらいかな。そして、30分後にこの屋敷にたどり着いたと…。
なんで私達はここへ飛ばされたのだろうか…。多分、魔法かなんかで飛ばされたんだろうけど…。よく、わからないなぁ…。
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………。
エマ
エマ
あれれ?
どうやら私は寝てしまっていたようだ。窓の外を何気なく見てみた。
エマ
エマ
えっ?!
外は吹雪だった。
エマ
エマ
どういうこと?!今は雪が降る季節じゃないのに!
私は走って部屋を飛び出した。部屋をでると、広間ヘ続く階段を駆け下りた。私は、まだ知らない。これが悪夢の始まりだったということを…。

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