あなたside
今日中にちゃんと話さなきゃ……
でも……
あからさまに避けられてる…気がする。
はぁ…
ちょっと辛いなぁ…
そうこうしているうちにいつの間にか終礼の時間になっていた。
終礼が終わると廉くんはすぐ荷物をまとめ、教室から出ようとした。
今しかない…今言わなきゃ。
呼びかけると一瞬歩みを止めたが
振り返ることなく教室から出ようとした。
気付いたら廉くんの腕を引っ張って叫んでいた。
周りから少し冷やかしの声が聞こえる。
でもそんなの気にならなかった。
必死に言うとため息をひとつ付いて
廉くんは私の手を引いて教室から出た。
教室から悲鳴が聞こえたけど無視して歩き続けた。
この手を絶対離したくなかった。
✄------キリトリ------✄
屋上まで来て、廉くんは止まって私の方を振り返った。
いつぶりだろ…最近まともに廉くんを見たことがなかった気がする。
その整った顔を見て何故かホッとする私がいた。
話してて胸が痛い。
気付いたら涙がこぼれていた。
泣き続けて次の言葉が出てこない私を廉くんは優しく抱きしめた。
そう呟くと廉くんは“ごめん”と言って
さっきよりも強く抱きしめた。
良かった…
けど、気持ちを整理するってどういう事だろう…
聞いてみると廉くんは少し考えていたが、
私の目を真っ直ぐ見てこう言った
え
どういう事…?
嘘……
心配そうにそう言う廉くんの声も頭に入ってこない。
ごめんね
まっけんは、
私のせいで家督をつげないかもしれないの…
ポカーンとしてると
廉くんはいつもの笑顔で笑った。
そう言って嬉しそうに笑った。
その笑顔が綺麗と思った
と同時に怖さと後ろめたさが私を襲った。
お父さん…お母さん…
あの約束は絶対守らなきゃダメですか?
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。