第36話

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2019/02/18 09:34
あなたside


今日中にちゃんと話さなきゃ……

でも……
あなた
あなた
あの…廉くんッ
永瀬廉
永瀬廉
あ、紫耀ちょっといい?

あからさまに避けられてる…気がする。


はぁ…



ちょっと辛いなぁ…


そうこうしているうちにいつの間にか終礼の時間になっていた。
先生
じゃあ事故などないように帰ってください。

終礼が終わると廉くんはすぐ荷物をまとめ、教室から出ようとした。


今しかない…今言わなきゃ。
あなた
あなた
廉くん…

呼びかけると一瞬歩みを止めたが

振り返ることなく教室から出ようとした。
あなた
あなた
まって!

気付いたら廉くんの腕を引っ張って叫んでいた。

あなた
あなた
話があるの。

周りから少し冷やかしの声が聞こえる。
でもそんなの気にならなかった。
あなた
あなた
お願い……

必死に言うとため息をひとつ付いて

永瀬廉
永瀬廉
いくぞ あなた








俺から離れんなよ

廉くんは私の手を引いて教室から出た。

教室から悲鳴が聞こえたけど無視して歩き続けた。

この手を絶対離したくなかった。

✄------キリトリ------✄

屋上まで来て、廉くんは止まって私の方を振り返った。


いつぶりだろ…最近まともに廉くんを見たことがなかった気がする。

その整った顔を見て何故かホッとする私がいた。
永瀬廉
永瀬廉
話って?
あなた
あなた
廉くん…私の事嫌いになっちゃった?
永瀬廉
永瀬廉
なんで?
あなた
あなた
だって……今日一日中ずっと無視してきて…
話してて胸が痛い。
気付いたら涙がこぼれていた。
永瀬廉
永瀬廉
……
泣き続けて次の言葉が出てこない私を廉くんは優しく抱きしめた。
永瀬廉
永瀬廉
嫌いになるわけないやん。
永瀬廉
永瀬廉
俺は、あなたが俺以外を選んでも
絶対あなたを嫌いには なれんし。
あなた
あなた
じゃあなんで…

そう呟くと廉くんは“ごめん”と言って
さっきよりも強く抱きしめた。
永瀬廉
永瀬廉
ちゃんと気持ち整理させるためにと思ったんやけど…


ごめんな。
あなた
あなた
……嫌いになった訳じゃないんだ…

良かった…


けど、気持ちを整理するってどういう事だろう…
あなた
あなた
ねぇ廉くん……
永瀬廉
永瀬廉
ん?
あなた
あなた
永瀬廉
永瀬廉
あなた?
あなた
あなた
あのね、私の気にし過ぎかもしれないけど
廉くんちょっと無理してる?
永瀬廉
永瀬廉
え?
あなた
あなた
あ、なんかさっき
気持ちの整理がどうとか言ってたから

聞いてみると廉くんは少し考えていたが、
私の目を真っ直ぐ見てこう言った
永瀬廉
永瀬廉
あなたは俺の事誰だか分かるよね?
あなた
あなた
永瀬廉くんでしょ。
当たり前だよ。
永瀬廉
永瀬廉
よな。分かるよな。











でも昨日、あなたのお見舞いに行った時は違っててさ










どういう事…?
永瀬廉
永瀬廉
昨日あなたのお見舞いを紫耀と今田とで行ってて
なんか知らんけど あなたは、俺の事を新田真剣佑と勘違いしてた。











“ごめんね”ってずっと言ってた。


嘘……





永瀬廉
永瀬廉
なぁあなた…新田真剣佑と何かあった?
心配そうにそう言う廉くんの声も頭に入ってこない。










ごめんね









まっけんは、
私のせいで家督をつげないかもしれないの…
あなた
あなた
…んーん。何でもない。
ごめんね…間違えちゃって
永瀬廉
永瀬廉
ふーん










でもさ、俺 結構傷ついたから一つだけお願い事聞いてもらえる?
あなた
あなた
もちろん!

なんでも言って!
永瀬廉
永瀬廉
あ、言ったな?




なんでもするって
あなた
あなた
うん。
永瀬廉
永瀬廉
じゃあ、










俺とデートして下さい。
あなた
あなた
え……?
ポカーンとしてると  

廉くんはいつもの笑顔で笑った。
永瀬廉
永瀬廉
今度予定教えて。
合う日探そ。










ダメ?
あなた
あなた
…いいよ/////
永瀬廉
永瀬廉
マジ?!
よっしゃ〜!
そう言って嬉しそうに笑った。

その笑顔が綺麗と思った

と同時に怖さと後ろめたさが私を襲った。





お父さん…お母さん…

あの約束は絶対守らなきゃダメですか?

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