走った。とにかく走った。海人が押してくれた。
その勢いで自分の気持ちを伝えたかった。
君のいる方へ
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上手く話せたつもりだったけど、言葉がかすれて…
まっけんの言葉を遮って声を上げる。
やっぱりこの病気…信じることは出来なかった。
担当医に確認しに行く。
今はそのことしか考えられなかった。
遮ろうとする美桜を振り払い…病院へと駆け出した。
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駆け出そうとする男2人を止めた。
そう言って私は、あなたを追う。
今度こそ見失わないように。
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ちば…
そう言ってゆうにい…千葉先生が話した事は
この障害を治す薬はない。
記憶いつ消えるか、どのくらい消えるかわからない。
記憶は戻るときもあるが戻らないときもある。
それくらい。
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そう言って笑う。
悲しさがバレないように。
少しだけ期待してた。
私が別れようって言ったら…嫌って
嫌って言ってくれるのを…
あの時…私に惹かれたとか好きとか言ってたけど…忘れるために必死だったくせに。
自分に言い聞かせるようにしてたくせに
それでも忘れられなくて
永瀬くんと高橋くんとの板挟みに苦しんで1人泣いてたくせに…
泣くまいと必死に声を殺せば殺すほど涙が溢れ出てくる。
頑張ってね…
私の好きな人…
平野紫耀
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。