26日ーー運命の日
意を決して外へ出た。
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美桜side
26日…今日は紫耀の大会がある日。
本当は…彼女として行くつもりだったけど…
気づいた。もう私は紫耀以外を好きになれない。
もう一度ぶつかりに行こう。
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あなたside
雨…ついてないなぁ…
私は足取り重く歩いていたが、ふと歩くのをやめ空を見上げた。
今 私の心はこの空みたいに、どんより暗い。
まっけん、廉くん、紫耀…誰か1人なんて選べるわけないのに…
どうしてこうなっちゃったの……
少ししょっぱい雨が頬を伝う。
気づいたら私は座り込んで泣いていた。必死に声を殺しながら…
ーーーーーーー11:45
「ご搭乗の最終案内をいたします。
イギリス行き12時発71便ご利用のお客様は… 」
周りを見渡してもあなたらしき人は見つからない…
会った時、記憶を取り戻した時
なんとなくわかってはいた。
あなたの心には俺じゃない誰かがいる。
俺の手元には、昔のあなたの写真がある。
あの頃…外国へ行かなかったらまた違った道を歩めてたかな……
あなたの隣には俺がいたか…
でも、もう必要ない。
あなたのためではない、俺のために。
自分の為に外国へ行こうと思った。そう考えると自然と心が軽くなる。
土砂降りの雨の下、飛行機へと向かった。
俺の心に降る雨が少しでも和らげばいい…ここで終わりにしよう。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!