走って走って。
とにかく私は屋上をめざした。
屋上へと続く扉を開けると懐かしい感じがした。
ここで、海人くんと話して幸せになるって決めたのに
まさかこんな事になるなんて……
詳しく事情は聞かなかったけど
二人の間で何かが変わったのは明らか。
ようやく分かった。
あの日廉がおかしかった訳。
みすずちゃんと仲良くなった事。
それからみすずちゃんもおかしかった。
一瞬だったけど。
間違いなかったみたい。
後ろを振り返ると
紫耀がいた。
それに、少し悲しむ自分がいる。
廉が追いかけてくれるかもって
少し期待してた自分が馬鹿みたいに思う。
理由はハッキリとは分かんないけど涙が溢れて止まらなかった。
抵抗してたけど
紫耀の力で抑えられ。
気づいたら紫耀の腕の中にいた。
懐かしい匂いに安心して更に涙が溢れた
なんで私がこんな思いしなきゃならないの……
廉のこと大好きなのに……
でも、今日のことがあってから急にいつも通りとか絶対無理なの分かってる。
じゃあどうすれば……
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。