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第86話

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2020/12/20 11:10

「お嬢様、到着致しました。」
荻野 美澄寿
ありがとう、廉降りて
永瀬廉
永瀬廉
ここって…
荻野 美澄寿
……なに?
永瀬廉
永瀬廉
いや、別になんもない
荻野 美澄寿
なんだ……
永瀬廉
永瀬廉
なんか言った?
荻野 美澄寿
んー別になにも。
それよりエスコート
永瀬廉
永瀬廉
ほんま生意気、ほらよ今日だけやで

なんだかんだ優しいとこあるんだよな。

それが全部私に向ければいいのに…

「みすず、廉くんこっち」
荻野 美澄寿
お父様
永瀬廉
永瀬廉
ご無沙汰しています。

「廉くん来てくれてありがとう。今日は顔合わせってことで。」

お父様が言うと廉は顔を歪めた。

そんな顔しなくてもさぁ
荻野 美澄寿
さ、廉行こ

「お、未来の旦那様だもんな。連れてってもらえ」

お父様がそう言うと同時に廉が私の手を振り払う。

そして、お父様の前に立った。


永瀬廉
永瀬廉
その件ですが…僕はみすずさんと結婚できません

「な、なんだって…?」
永瀬廉
永瀬廉
僕は他に好きな人が…守りたい人がいるんです。
急にやってきて婚約しよとかありえないっす。

「…」
永瀬廉
永瀬廉
すみません。
俺はここにいることが出来ない。
失礼します。


そう言って廉はお父様に一礼すると足早に立ち去った。


「みすず…お前、廉くんも同じ気持ちだって…」
荻野 美澄寿
…そんなこと無かったね


悪あがきに付き合ってくれてありがとう。

廉…大好きだったよ


荻野 美澄寿
お父様、私ロサンゼルスに行く


「…まさか」
荻野 美澄寿
もう覚悟決まった。
例の契約結婚受けるね。

そう言う私を父は悲しそうに笑って私の頭を撫でた。

私はこの会社を将来安泰にしよう。

失恋したばかりの私の気持ちの逃げ場はここしかないから。

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