「お嬢様、到着致しました。」
ありがとう、廉降りて
ここって…
……なに?
いや、別になんもない
なんだ……
なんか言った?
んー別になにも。
それよりエスコート
ほんま生意気、ほらよ今日だけやで
なんだかんだ優しいとこあるんだよな。
それが全部私に向ければいいのに…
「みすず、廉くんこっち」
お父様
ご無沙汰しています。
「廉くん来てくれてありがとう。今日は顔合わせってことで。」
お父様が言うと廉は顔を歪めた。
そんな顔しなくてもさぁ
さ、廉行こ
「お、未来の旦那様だもんな。連れてってもらえ」
お父様がそう言うと同時に廉が私の手を振り払う。
そして、お父様の前に立った。
その件ですが…僕はみすずさんと結婚できません
「な、なんだって…?」
僕は他に好きな人が…守りたい人がいるんです。
急にやってきて婚約しよとかありえないっす。
「…」
すみません。
俺はここにいることが出来ない。
失礼します。
そう言って廉はお父様に一礼すると足早に立ち去った。
「みすず…お前、廉くんも同じ気持ちだって…」
…そんなこと無かったね
悪あがきに付き合ってくれてありがとう。
廉…大好きだったよ
お父様、私ロサンゼルスに行く
「…まさか」
もう覚悟決まった。
例の契約結婚受けるね。
そう言う私を父は悲しそうに笑って私の頭を撫でた。
私はこの会社を将来安泰にしよう。
失恋したばかりの私の気持ちの逃げ場はここしかないから。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。