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第5話

ルカくんと友達になる
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2021/03/03 03:59
ここが学園アリスの世界だと気づいてから早数日.....



私こと、椿あなたは絶賛ルカくんから距離を置かれています....トホホ


しかも、ボディガード人達からの冷たい視線














うん、それはそうだ....仕方がない.....





でも少し悲しいです











と、今はそんな具合です。



まあ、学アリファンの私からすればルカくんと同じ教室に入れて幸せです!ありがとうございますっっ

って感じなんだけど、いかんせんルカくんの表情が暗い





日々をボディガードに囲まれて過ごし、学校で同級生と遊ばず、送迎用の車で登下校する。





うん、漫画で描かれてた通りだ

ここに1年後に転校してくる日向 棗くんと関わっていく中で、成長していくルカくん

その時初めて彼は母親に自分の意見を伝えるんだ


その意味で日向 棗との出会いは大切だ。ここからルカくんが変わっていったと言っても過言ではない






私がここで手を出すべきではないとわかっているが、ルカくんが1人悲しそうにしてるのは見ていられない。



だって、気持ちがわかるから

前世で私も闘病生活の中なかなか授業に行くことが出来なかったし、友達も誰一人いなかった

久しぶりに学校に通っても、知らない人ばかりで交流を深める前に体調を崩しすぐに入院してしまう

友達と遊べない、話せないってことは本当に孤独で苦痛だった

羨ましかった、校庭で鬼ごっこをする同級生や部活動に勤しむ学生が

ただベッドに横たわって窓から彼らを眺めることしか出来ない自分が悔しかったし、惨めだった

なんで自分だけ、どうして?

そんなことばっかり考えて日々落ち込んでいた





そんな中、「学園アリス」という作品に出会えた

学園生活を日々楽しそうに過ごす姿や、友達と困難に立ち向かう姿、自分のやりたいことに全力で挑む姿、病に侵されながらも懸命に生きる姿


そんな彼らに背中を押された

私はこの作品が大好きになった
日々の生活が明るくなった
















だから、私は彼らに恩返しがしたい

少しでも私に与えてくれた夢や希望を返せるように

彼らが少しでも健やかな生活がおくれるように


アリスを持たない自分には無理かもしれないけど....











先「はーい、お昼を食べおわった人は各自食器を片付けて昼休みに入ってくださいね」


私はタイミングを見計らって椅子から立ち上がって、彼に向き合う




『ねぇ、お昼一緒に鬼ごっこしない?』



彼は話しかけられて驚いているようだった

彼に話しかける人は滅多にいない
彼は少し嬉しそうに見えた

グラサンの人達は警戒を露わにする

ル「......えっ、.....あっ、でも........」

ルカくんはグラサンの人たちが首を横に振っているのを見て言葉を詰まらせる

手を強く握りしめてなにかに耐えるように
彼は黙りこくってしまった

『わかった じゃあ、ルカくんはどうしたい?』

彼の綺麗な双眼を見つめる

彼の瞳は揺れていた

「.....遊びたい...」

とっても小さな声だった でも充分だった






『よし、行こっか まずは逃げないとね』

私は満面の笑みで彼に笑う
そのまま彼の手をとって全速力で教室を出た


後ろから慌てたように、グラサンたちが追っかけてくる


途中
「廊下は走っちゃ行けません」
なんて注意されたが、無視をした










こうして私は君の初めての友達になった

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