第59話

天野 カエデside
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2021/01/28 17:00

とは言っても、そういう所も含めて、町田先生とは高校を卒業した後も付き合いを続けてきた。


ハッキリしているところ、

仕事が出来るところ、

酒に強いところ。


後は、良いところの坊ちゃんだから、

普段は上品さが仕草や言葉遣いなどに表れるが、たまに口調が荒くなるギャップ持ち。

特に呑んだ後とか。



他にもあるけど、俺が深く気に入ってるところはこれぐらい。



(やっぱり付き合う相手は " 飽きない " に尽きるよね〜。)

町田 タカユキ
話の続きはまた呑みの席でするとして、
天野 カエデ
え、ナチュラルに誘ってくれてる感じですか?カワイイですね、町田先生♡
町田 タカユキ
天野 カエデ
…冗談ですよ、続けて下さい。
町田 タカユキ
さっさと学校周りのパトロールを済ませた方が良さそうですね。地域住民の方から苦情が入る前に注意しないと。
天野 カエデ
駐輪禁止区域の自転車放置の苦情と、繁華街を制服のままで彷徨いていた類の苦情がやけに多いみたいですもんね〜。
町田 タカユキ
この辺りは都心に比較的近いですし、繁華街の方向に流れていくのは想定済みですけど。

町田先生は空になったパックジュースをデスクの上に置くと、帰り支度を始める。
町田 タカユキ
流石に寄り道するにしても制服はまずいだろ、って話です。
天野 カエデ
ははは。特に奥のホテル街まで行っちゃうと、何考えてるか分からない輩が多いですから。

自然と先日彼女が巻き込まれた時のことが脳裏に浮かんだ。


(真っ直ぐの通りが続く場所で迷子って、どんだけ方向音痴なんだよ。)


思い出すと笑えてくる。

その様子を見て、彼はまた怪しい目を俺に向けた。
町田 タカユキ
取り敢えず、折角早く帰れる機会ですから、今からでも済ませてしまいましょう。
天野 カエデ
え、パトロール終わり次第、そのまま帰る感じですか?
町田 タカユキ
僕はそのつもりです。
天野 カエデ
成程。
あ、じゃぁ、俺の車に乗って行きますか?隣、空いてますよ?
町田 タカユキ
いえ、僕も車なので。

いつもは自転車で登校しているのに珍しい。

さては何か予定があるのだろうか。


もしや、恋人と " デ ──────
町田 タカユキ
" デート " じゃないですよ。
天野 カエデ
あらら、読まれちゃってる。
町田 タカユキ
貴方の事ですから、考えているのもそんな事だろうとは思っていましたが…まさか本気で考えているとは。
天野 カエデ
えー、だってそっちの方が面白いじゃないですか〜〜〜!
町田 タカユキ
僕のプライベートは貴方の娯楽ではないんですよ。

帰り支度を済ませた彼は空になったパックジュースを、職員室のドア横のゴミ箱に捨てた。


遅れて帰り支度を進めている俺の方に振り返ると、

彼は「そういえば、」と話を切り出した。



町田 タカユキ
恋人とはどうなんですか?

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