第57話

天野 カエデside
645
2021/01/13 17:00

(どーせ、新しいバイトの面接か引越し先の相談でしょ。)

天野 カエデ
新しいバイトとお部屋、見つかるといいね(ニコッ)。
あなた

っ!!!


(ほーら、また分かりやすい顔。ババ抜きとか絶対出来ないタイプじゃん。)
天野 カエデ
じゃ、勝手について行っちゃおうかな?
あなた

は?!

天野 カエデ
あなたちゃんのこの前のスパイごっこみたいに。
あなた

またそのネタで揶揄うんですか。
てか、付いて来ないで下さい。
そこまでして私に構う理由あります?

天野 カエデ
うーん、だってぇ…あなたちゃんに意地悪したいから?
あなた

それは他を当たって下さい。

天野 カエデ
えー!
あなた

私以外に適役は居ますよ。

天野 カエデ
何それ〜。俺はあなたちゃんが良いのに?
あなた

私は嫌です(ニコッ)。

天野 カエデ
照れなくて良ーのに!
あなた

照れてないです(ニコッ)。
てか、天野くんは格好良いですから、選ばずとも女の子は皆喜ぶのでは?


(俺と距離は取りたがる癖に、こういう言葉はサラッと言えるんだ?)
天野 カエデ
へぇ…
あなた

天野 カエデ
じゃ、あなたちゃんは?
あなた

私は喜びません(ニコッ)。

天野 カエデ
清々しいぐらいハッキリ言うよね〜(ニコッ)!」

俺に冷たくする女の子は今まで沢山居たし、

実際、過去直近の恋人は元は彼女に似たような塩対応ガールだった。


ただ、隣のクラスの担任と知っても尚、ここまで塩っけのある対応をされるとは。
天野 カエデ
あなたちゃんって本当に面白いよね〜、飽きないや。
あなた

面白くなんかないですよ。


クックックッと笑いながら口にした言葉は、彼女には不本意だったのか静かに否定された。


(あー、ほんと、)

天野 カエデ
手放すのが惜しいよねぇ。
あなた

天野 カエデ
あなた

…じゃ、手放さなくても

天野 カエデ
あはは、それはだーめ。
前にも言ったじゃん、無理だって。

彼女の言葉を遮り、

俺は躊躇いもなく現実の話を彼女に突きつける。
天野 カエデ
JKと教師が一緒に住んでるとかヤバいでしょ。
俺、危ない橋は渡りたくないんだよねー。
あなた

天野 カエデ
もしそれが人助けって言うなら尚更。
あなた

ッ、


軽く下唇を噛んで下を向く彼女を見たのを最後、俺はスッと滑らかに自然に視線を外した。


(大体、ここまで大きなリスク犯してまで俺の家政婦に執着したい理由って何なのかも知らないしね。…もしや、俺のこと好き…とかは態度的に流石に無いか。)





彼女には悪いけど、


単純明快に言って、




俺には関係のないことなんだわ。




(ははっ、俺ってば性格悪。)






彼女との契約解除まで、あと数日。

俺の暇潰しにさえなってくれれば良い。

せいぜい俺を退屈させないでよ?



──── 塩見 あなた。




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