第44話

#天野くんと放課後の話 ②
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2020/06/17 17:00
中身の無いカフェオレのカップをコンビニのゴミ箱に捨てると、

私はスクールバッグを肩に掛けて急いで出て行く。


いつも車のキーを片手に出勤する姿を見ているので分かってはいたが…



(こんなに派手な車だとは思わなかった!!!)



このコンビニは学校から離れていたとしても、

当然ここを利用しようと来る事は勿論、登下校として近くを通る生徒や先生も居るだろう。


『バタンッ』

車の助手席が自動で少し開いたのを確認してから、

周りを警戒しながらスルリと車内に身を滑り込ませる。
天野 カエデ
ふふっ、何してるの、あなたちゃん。
私の隣に座っている天野くんは片手を口元に当てながら笑う。
天野 カエデ
もしかして、追われてる?
あなた

いや、誰に追われてるんですか。

天野 カエデ
だって、コンビニ出てからずっとコソコソしてるし…ふふっ、車に乗る時なんか最高でしょ。
スパイかよ、って思っちゃった。
あなた

天野くんはもっと自分がヤバい事をしている自覚を持って下さい。
緊張感が足りなさ過ぎる!



車内に2人っきり。



こんな状況を見られでもしたら…写真に撮られでもすれば一巻の終わりだ。



なのに、天野くんときたら信じられない。




こんなに派手な赤い車を堂々とコンビニの前に停めて、更にはサングラスも何も掛けていない。

疚しい関係に私と天野くんがある訳ではないとはいえ、

流石にこの状況の危険を省みて欲しい。
あなた

と、とにかく早く学校から離れて下さい。

天野 カエデ
え、結構離れてるから良くない?
あなた

駄目です、早めに離れて下さい。

天野 カエデ
はいはい。
天野くんはハンドルを握り直すと、ゆっくりアクセルを踏んだ。

景色がゆっくりと後ろへと流れる。



(結局、天野くんは私を何処に連れていく気なんだろう?)
天野 カエデ
そんなに焦っちゃって、まぁ…
もしかして、俺と居るところを見られるとまずい相手でも居るの?(ニヤッ)
あなた

学校関係者全員ですけど、何か?(ニコッ)









天野くんと私はそれから特に会話をするでもなく、静かな時間が車内では流れた。

気まずくも無ければ、退屈にも思わない不思議な空気感。


(何故かは分からないけど、居づらくないんだよなぁ…)



膝の上に乗せたスクールバッグの持ち手を握りながら、周囲に警戒する。


信号待ちで車が止まっている際、

何度か他の車と車の隙間から下校中の生徒が見えては心臓が止まりそうになった。
天野 カエデ
そんなにキョロキョロしてたら余計に怪しまれない?

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