桧原の重いトーンの声が私の足を止めた。
始業式終わりの直後の昼前でも例の駅を行き交う人の数は多い。
流石、都会って感じだ。
改札口の手前でゆっくりと振り返った私は、
朝のマフラーの代わりに首にヘッドフォンを掛けた桧原と目を合わせた。
すんっと澄ました顔で視線を決して逸らさない桧原。
「じゃ。」と片手を挙げて、私に背を向けた桧原は私とは逆方向に進んでいく。
(確かに桧原は面倒見も良いし、モテるのも納得…)
ヘッドフォンを耳に付けた桧原の背中がある程度見えなくなるまで見送ってから、
改札を通った。
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『ガッ…チャッ…』
いつもよりも静かに家に入る。
が、灯りはどの部屋も点いてなかった。
『トンッ』
両肩にトンッと置かれた手に思わず声が漏れる。
(あ、あれ、…ふ、普通……?え、もしかして、似てた人がいてた…だけ…??え…………?!)
天野くんは玄関で私を迎えると、そそくさとリビングへの扉を開けた。
私、
完全に死亡フラグ立ってますよね?
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リビングのテーブル席には座らず、床で向かい合って正座をする両者。
営業用のスマイルを満面に貼り付けたまま、10分が経過した。
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こんにちは、
さくらどろっぷ.です🌸
とうとう第1章である『起』の部分が終わりましたっ!
ここまで読んで下さった、あなたさん!
ありがとうございます🙇🏻♀️💕
次章予告を『the moon blooms.』にて公開しておりますので、
是非其方にも手を通して頂き、
これからの塩見さんと天野くんのdramaticすぎ、
且つbadendな2人の展開を応援して頂ければ、と思います!
今後とも、どうぞよろしくお願いします🙇🏻♀️✨
さくらどろっぷ.
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。