第30話

#dramaticでbadendな話 ⑥
1,149
2020/03/11 17:00

前にもこんな流れの会話をした覚えがある。



『あの…前から言ってますけど、後ろに立つのやめて貰えます?』

『嘘、なんで?』

『前にも言いましたよ。怖いんです、後ろからぬうって出て来られると!』

『え〜、そう?女の子は結構喜んでくれるんだけど。』

『それ、何処の女の子ですか。』

『彼氏感強め〜って、同期の子達が。』



(同期の子って…)
あなた

天野くんの言う『同期の子』って、同僚の事ですか?

天野 カエデ
ん?
あ、そうそう〜。
あなた

職場でもこんな感じだなんて、ちょっとびっくりしました。

天野 カエデ
え、何で?
あなた

何でもです。

私は「はぁ」と大きくため息をつくと、

天野くんの整えられた顔を再び見上げる。
あなた

天野くん、

天野 カエデ
何?
あなた

私は今凄くドキドキしてます。

天野 カエデ
あなた

でも、それよりも足の痺れの方が気になるので早く退いて下さい。
ご飯も作れないし。

天野 カエデ
………塩っけ多いねぇ(笑)
私をしばらく見下ろした後、天野くんは軽く笑ってからそう言った。
天野 カエデ
もう少し反応ってものがあるもんじゃないの?
あなた

普通はあっても、私には無いので。
そこの所、把握宜しくお願いします。

天野 カエデ
うーん、
天野くんは私から一度視線を逸らすと、考える素振りを見せる。


(え、何で『うーん、』なの?)
あなた

…何考えてるんですか。

天野 カエデ
いいや?
俺さぁ、思うんだけど、
『ズズイッ』

天野くんは私に顔を近づけると、再び不敵な笑みを浮かばせる。

私は嫌な予感がして、「何ですか。」と声を低くして問う。
天野 カエデ
あなたちゃんって恋愛経験、ある?
あなた

…え、いきなり何聞いて来るんですか。

天野 カエデ
なんか平然装ってるけど、実はピュアすぎてドキドキする感情とか欠落してるのかな、って。
あなた

何て事を言うんですか。

天野 カエデ
初恋とかまだそうだし。
あなた

いけないんですか。

天野 カエデ
あらら、気に障っちゃったなら、ごめんなさい(テヘッ☆)
あなた

…まぁ、言ってる事は半分正解ですね。

天野 カエデ
まじ?
あなた

はい、初恋とかした事無いので。

天野 カエデ
へぇ。
あなた

でも、ちゃんとドキドキしますから半分不正解ですね。
今のとか。

天野 カエデ
………あなたちゃんって、たまにとんでもない爆弾落とすよね。
あなた

そうですか?

天野 カエデ
そーですよ。
私はいつまでも覆い被さったままの体勢の天野くんに今度はキツめに言った。
あなた

…取り敢えず、早く退いて下さい。
足痛い。

天野 カエデ
あ、そうだ。
それならあなたちゃんの部屋のベッドにお姫様抱っこで連れて行ってあげようか?
あなた

良いんですか?
何時まで経ってもご飯出来ませんけど。

天野 カエデ
それは困る。
あなた

ですよね?

天野くんは私から漸く退くと、私に手を差し伸べる。

私はその手を取り、再び立ち上がった。


足の痺れがシュワシュワと爪先に溜まっているかのように、爪先を中心に暴れている。


天野くんはニヤニヤしながら人差し指を私の足に近づけた。
天野 カエデ
ねぇ、つんつんしていい?
あなた

炒め殺しますよ。

天野 カエデ
怖い怖い。
因みに今日のお昼は何ですか?
あなた

炒飯です。

天野 カエデ
あぁ、成程ね。
だから、炒め殺す、ね。
あなた

はい、そうです。







美男子クライアントがまさかの隣のクラスの担任だなんて、

まるで、

少女漫画の様な




dramatic





すぎる展開。


けど、それは互いが " 嘘 " で固めてきた結果の



badend。





神様、私は何か目立つ様な悪い事をしてしまったのでしょうか。

それとも何かの試練ですか。





私、塩見 あなた、

神様がどんな意地悪をしようと、
試練を課そうと、

必ず修学旅行費を貯めてみせます!!!

プリ小説オーディオドラマ