前にもこんな流れの会話をした覚えがある。
『あの…前から言ってますけど、後ろに立つのやめて貰えます?』
『嘘、なんで?』
『前にも言いましたよ。怖いんです、後ろからぬうって出て来られると!』
『え〜、そう?女の子は結構喜んでくれるんだけど。』
『それ、何処の女の子ですか。』
『彼氏感強め〜って、同期の子達が。』
(同期の子って…)
私は「はぁ」と大きくため息をつくと、
天野くんの整えられた顔を再び見上げる。
私をしばらく見下ろした後、天野くんは軽く笑ってからそう言った。
天野くんは私から一度視線を逸らすと、考える素振りを見せる。
(え、何で『うーん、』なの?)
『ズズイッ』
天野くんは私に顔を近づけると、再び不敵な笑みを浮かばせる。
私は嫌な予感がして、「何ですか。」と声を低くして問う。
私はいつまでも覆い被さったままの体勢の天野くんに今度はキツめに言った。
天野くんは私から漸く退くと、私に手を差し伸べる。
私はその手を取り、再び立ち上がった。
足の痺れがシュワシュワと爪先に溜まっているかのように、爪先を中心に暴れている。
天野くんはニヤニヤしながら人差し指を私の足に近づけた。
美男子クライアントがまさかの隣のクラスの担任だなんて、
まるで、
少女漫画の様な
dramatic
すぎる展開。
けど、それは互いが " 嘘 " で固めてきた結果の
badend。
神様、私は何か目立つ様な悪い事をしてしまったのでしょうか。
それとも何かの試練ですか。
私、塩見 あなた、
神様がどんな意地悪をしようと、
試練を課そうと、
必ず修学旅行費を貯めてみせます!!!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。