今にも千切れそうな細い糸の上にある様な関係だと、
怪しまれない関係の名前。
…駄目だ。
完全にアウトな単語しか出て来ない。
もし、この状況を切り抜けられなかったら………
社会的に確実に " 死 " あるのみ!!!
それはなんとしてでも阻止せねば…!
と、暫く黙りを決め込んでいた天野くんが、
私の後ろでボソリと呟く。
隣で目をぱちくりさせるだけの天野くんに、私はため息を零すと、
森下さんが居る段まで降りていく。
手のひらを上に向けて、森下さんの前に持ってくると、
未だ理解出来てなさそうな彼に説明を始めた。
瞬きだけを繰り返す天野くんに、
森下さんが笑みを見せながら話し掛けた。
森下さんは自分の口を指さして、
階段から私達をじっと見ている天野くんに問う。
じっくり考えてみれば、すぐに思い当たる節を見つけたのか、
天野くんの目がみるみる内に見開いていく。
森下さんの視線が私へと移される。
(まさか…)
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。