はぁ…
私はため息をついてから答えた。
無いよ。フミカが思ってるようなのは無いですよ。
うっそ!もう付き合えばいいじゃん!それ、多分好きって気持ちが麻痺してるんだよ、一緒に居すぎて!
えぇ…無い無い。そもそも桧原が彼女居るかどうかも知らないし。その手の話は全くしないし。
いや、桧原の事狙ってる女子は腐る程居るからね?!今は桧原の彼女にしーちゃんが彼女っていう疑惑が浮上してるから、アプローチされてない訳で…
『ドンッ!』
『ガタンッ!』
そんな事してたら、あっという間に桧原取られちゃうんだからね?!後で泣きついて来ても知らないから!
フミカ、椅子…
あ、ごめん。
フミカが勢い余って立ち上がった表紙に、椅子は見事にひっくり返る。
フミカはえへへと笑いながら椅子を元に戻した。
うわぁ、何これ?!しーちゃん、こんなの持ってたっけ?!
ん?
フミカが私のバッグから顔を見せた物を指さしている。
あぁ、えっと、持ち充ってやつらしい。
やっぱり!結構良いやつだよ、これ!メーカーもすっごく良い所だし、この前テレビでも最新だってやってた!
そう…なんだ。
「ちょっと見せて!」と、
前の席に座ったフミカは私から例の持ち充を手に取ると、
暫く見てから聞いてきた。
え、もしかして、しーちゃんが買ったの?
ううん、貰った。
貰った?!
うん。
誰から?!
えっと…
『その二、他言無用。』
(全部…どれも言っちゃ駄目って言ってたよね…)
その、知り合いの人。
知り合いの人?
うん、知り合いの人。
フミカはじっと私の目を見る。
その目に引け目を感じて、ふいっと視線を逸らした。
知り合いの人と言えば、知り合いの人だけど…はっきり言うと、クライアントさんでしょ?
!
だって、しーちゃんは絶対に持ち充なんて買わないだろうし、
!!
ほらぁ、やっぱりぃ…
フミカは意地悪にニヤッと笑うと、私の手元に持ち充を返した。
てかさ、何で隠すの?
クライアントさんの事で私に後ろめたい事でもあるの??
あっ……いや、別に…特には。
じゃ、どうして?例えば、クライアントさんが暴力的というか、変な事してくるとか?迫って来るとか?
(汗)
いや、迫ってくるとか無いか… か、まさか主が犬…とか?!
…
それは冗談で…男の人だったりだとか??
(汗汗)
って、流石に男の人と同棲はやばいから無いか…
じんわりと冷や汗が出て来る。
(フ、フミカにバレるのは…なんか、色々まずそう…)
意識しないようにしていても、落ち着かないからか、
持ち充をバッグの中で触る手が止まらない。
おーい、そろそろ始業式始まるぞー。グラウンド集合だってさー。
うぃー。
行こー?
始業式ってだるいんだよなぁ…
(な、ナイスタイミング…!)
だってさ。始業式行くかぁ、しーちゃん!
うん。
愛しの桧原くんを見に行く為にっ。
だから、そんなんじゃないって。
はいはーい。
廊下から他クラスの生徒が教室に顔を出し、「急げよー。」と付け加えると、
ぞろぞろとクラスメート達が教室を出て行き始めた。
フミカは機嫌良さげに私の前を歩いて行く。
(フミカは鋭すぎるから怖い…心臓に悪い…)
くるんと髪先が緩くカールされた後ろ姿を見ていると、
フミカはすぐに振り返った。
どうしたの?
ううん、何でもない。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!