第70話

誰が為の傍らの話⑥
412
2021/11/09 05:00



顔色を曇らせた森下さんに、

私は「う…」と苦虫を噛み潰したような顔をして見せた。



モリシタ
君、" テラコッタちゃん " って知ってる?
天野 カエデ
知ってます。てか、大好きです。
モリシタ
そうなんだ。



クスリと笑った森下さんの笑みに私は良からぬ予感がして、「森下さん、」と呼んでみる。


モリシタ
良いじゃん、悪いことしてるわけじゃないんだし。
モリシタ
教えてあげたら?
あなた

モリシタ
天野 カエデ
…え、何?何の話ですか?
モリシタ
んー?
あなた




(嫌だな。だって、ちょっと…というか、かなり面倒くさい事になりそうなんだもん。)



黙ったまま、

森下さんが私の正体を天野くんに話してしまわない様な展開に持っていくには、

どう切り抜ければ最善か必死に考える。




私に天野くんに正体をバラす意思は全く持ってない。




あなた





(どうしよう、どうすれば…)




モリシタ
天野 カエデ
あなた

モリシタ
…はぁ、
あなた

?!

モリシタ
そんなに言うの嫌?
モリシタ
そんなに僕らとの活動を隠したい?
あなた

い!嫌じゃない、ですけど…隠したい、、、って訳でも…、

モリシタ
良かった!
あなた

へ?!

モリシタ
じゃ、僕が言っちゃうね!
あなた

え!?!?!ちょ、ちょちょっと待って!

モリシタ
この子ね、
天野 カエデ
はい?
  
















モリシタ
テラコッタちゃんなの。
天野 カエデ
…は?
モリシタ
君が好きなテラコッタちゃんの、中の人なんだよ。
天野 カエデ
あなた

天野 カエデ
……
あなた

……

天野 カエデ
………
あなた

………







あぁ、最悪だ。

完全に、バラされてしまった。







『チラッ』


天野くんの視線が森下さんの目から私へと移る。


脱力した指先をだらんと下ろした私は、「はははは…」と苦笑いを漏らした。








天野 カエデ
…は?
あなた

天野 カエデ
……は?!
モリシタ
ん?
天野 カエデ
はぁぁぁああああ?!?!

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