第35話

氷点下
3,166
2019/02/11 21:56
四時間なんて終わってしまえば案外早く感じるものだ。


ユンギさんのヘアメイクの後、
練習室に立ち寄ってPDより私が新しい役職についた話があったので、
皆の前で挨拶をした。



メンバーはもちろん色々なスタッフから祝福をもらい、
なんとジミン君からは
ジミン
ジミン
ささやかな気持ちだけど、よかったら使ってください
と、
某有名一流ブランドの可愛らしい万年筆まで頂いたりして……


皆の期待に応えなきゃならないと気が引き締まる思いだった。



それなのに……


ユンギ
ユンギ
ヌナのヘアメイクでようやく俺が俺になりました。これからもよろしくお願いします。



私のサロンから出て行くユンギさんが、
軽く振り返って吐いていった言葉。


気を引き締めたいのに、
矛盾するように頭から離れない。


スタッフとでしかそばにいられない分、
これからもがっかりされないように頑張らないと。





テヒョン
テヒョン
ねぇ、ヌナはさ、どんな人がタイプなの?
You
You
え、どうしてですか?



スタジオへ移動中のエレベーター内で、
テヒョン君が突然爆弾を放り投げてきた。



( オーマイガー。 )



ユンギさんもジョングク君も乗ってるのに。



テヒョン
テヒョン
うちのジミナがさー、さっきみたいにプレゼント魔というか、色々とさり気なく出来ちゃう男だから、やっぱり女の人はそういう人が良いのかと思って。
You
You
あー、ジミン君は本当に優しいし気遣いのできる方ですよね。とても嬉しかったです。
ジミン
ジミン
やーテヒョナ!褒めてもお前には何もやらないからなーえへへ。
ナムジュン
ナムジュン
喜んでる……。
ジョングク
ジョングク
ヌナは僕のペンですよ?僕がタイプに決まってるじゃないですか。
You
You
じょ、じょ、じょジョングク君!
ジン
ジン
ぷっ、ジョジョングク!
テヒョン
テヒョン
えーそうだったの?いがーい。ヌナはユンギヒョンのようなクールでSっぽい人が良いのかと思ってた!ひひ。
ユンギ
ユンギ
ゲボッ。ゲホゲホッ。
ホソク
ホソク
ちょ、ヒョン汚い!コーヒーこぼさないで!



ストロー付きのコーヒー片手にユンギさんがむせるから、
もう恥ずかしくて泣きたくなった。


You
You
そ、そうですね。皆さんそれぞれ個性があって、一人一人カッコイイと思ってますよ。



( 我ながらなかなかの模範解答。 )


テヒョン
テヒョン
そうじゃなくてタイプの話!



( キムテヒョン氏、もう勘弁して下さい。 )


ユンギ
ユンギ
俺なんかがタイプなわけねーだろ





エレベーターの中は一気に冷凍庫化したのかと思った。






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