第11話

逃避行
2,091
2021/09/28 15:00
月灯りが小窓から差し込むくらいで部屋には電気が通っておらず、薄暗い部屋。
コーチは、膝を抱えて床に座り込む。
そして、あの日のあの時の事を思い出していた。
コーチ
コーチ
結局…こうなる運命か〜。
コーチは膝を抱えて、身を屈ませそのまま目を閉じる。
ジェシ
ジェシ
コーチ…。
どのくらいの時間が経ったのであろう。
何度か名前呼ばれて、気づくと重たい瞼をゆっくり開くコーチ。
扉が少し空いて…そこから灯りが漏れている。
コーチは恐る恐るドアの近くに近寄る。
外を覗くと…

そこにはジェシがいた。
コーチ
コーチ
ジェシ様…。
ジェシ
ジェシ
スペア、キョモに借りてきた。
さっ逃げて。仕立て屋が、裏庭で待ってるよ。
コーチ
コーチ
えっ❓仕立て屋…?
ジェシ
ジェシ
君の幼なじみの彼だよ(*ˊ˘ˋ*)。♪
コーチ
コーチ
あっでも…。ジュリ様は?
ジェシ
ジェシ
それなら、安心して俺から上手く言っておくよ。早く…彼が待ってるよ〜。
コーチは躊躇っていた。こんなかたちで屋敷を出ていくのが不本意で…。
出来ればみんなに見送って欲しかったなと、この後に及んで思っていた。
動かないコーチを引きずり出してジェシが裏庭まで連れていく。
コーチ
コーチ
2度も助けて頂きありがとうございます。やっぱり…あの日助けてくれたのは…ジェシ様ですよね❓
コーチは立ち止まり、ジェシと目を合わせる。
ジェシもコーチを見つめる。
そして、ふたりは惹かれ合うようにキスを交わす。
ジェシ
ジェシ
あっ…ごめん💦
こんな目に合わせる為に君を連れてきたわけじゃないのにね💦
小声で話すとジェシはコーチをぎゅっと抱きしめる。ジェシの背中に手を伸ばしてぎゅっと抱きしめ返すコーチ。
ジェシ
ジェシ
さっ、行って…
ジェシは名残り惜しみながら、コーチを送り出す。
コーチは度々振り返りジェシをチラッと見ながら、ホクトの元に向かう。
ホクト
ホクト
コーチ、行くよ。
ホクトはコーチの手をぎゅっと握って小走りに歩き出す。
ホクト
ホクト
こんなことになるなら、昼間連れさっておけばよかった…大丈夫疲れてない?
コーチ
コーチ
ごめんね…
ホクト
ホクト
謝らないでよ。
俺がしたかったんだから…。もっと早くにこうしてばよかった。
月が丸く輝く夜道をふたりは歩く。

そのあとは特に会話もなくふたりは歩く。


しばらくして、ホクトの家に着く。
ホクト
ホクト
さっ着いたよ。
今日は遅いから一風呂浴びて寝よう。
コーチ
コーチ
…うん。
コーチのお腹の音がぐぅ〜っとなる。
コーチは恥ずかしそうにお腹を抑える。
ホクト
ホクト
わかった…わかった。
コーチ先にお風呂入って。俺なんか簡単に食べれるもん作っておくよ。
コーチ
コーチ
えっ💦大丈夫だよ。キッチン貸してくれば自分で作るよぉ。
ホクト
ホクト
ほら、いいから…ここは俺ん家だぞ!言うこと聞かないと追い出すからな(。・ω・)σ ⌒︎*
ホクトに煽られ、風呂場に向かう。

コーチはシャワーを借り、出てくるとパンとスープがテーブルに並んでいた。
コーチ
コーチ
洋服まで借りてごめんね…。

うわっ(๑º△º๑)美味しそー。
目を輝かせて席につくコーチは、いただきまーすと手を合わせて食べ始める。
コーチ
コーチ
ホクト〜。
ん〜〜美味しい(﹡ˆ﹀ˆ﹡)♡
天才だね。
って言葉を出した瞬間。
ふと、サンドイッチを盗み食いしたジェシの事を思い出す。
そして、去り際にキスをしたことも思い返す…。
ホクト
ホクト
コーチ❓なんか浮かない顔して…疲れてるよね…早く食べて休もう。
コーチの表情を見てホクトは気遣いの言葉をかける。








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