小さな決意をするものの…
小心者のコーチはジュリの言われるがまま、されるがままとズルズルと幾度もの夜を越えてしまっていた。
ジュリはコーチの顔見つめる。
目を合わすことができず、目を逸らすコーチ。
コーチはジュリになんでも見透かされているのかと思うと…怖くなる。
誤魔化すように自分からジュリを誘う。
コーチはジュリ擦り寄るとジュリの長い前髪を掻き分けて薄め目を閉じ唇を軽く尖らせてジュリの唇に押し当てる。
ジュリはコーチを受け入れ、ベッドに押し倒す。そして、今晩も躰を重ねる。
ジュリ様は優しいけど…
本当に好き(憧れている)のか…
恩人はないし…
なぜ、本当の恩人のはずのジェシ様は嘘ついているのか?
自分を助けたのか?
自分のしていることは正しいのか?
と再び自問自答する。
そして、小さな決意とは
この屋敷を出ていくこと。
そのタイミングを模索している…。
告げるとホクトと別れてキョモのところに向かう。
まずは
1番お世話になったキョモさんにご挨拶…っと。
キョモは嫌いとは口にするものの寂しそうにコーチを見る。
キョモが自分にキツく当たるのはたぶん、照れ隠しなんだろうなってコーチは今、感じる。
その夜のこと。
ダイニングで3兄弟がくつろいでいる。
ジュリは仕事の書類に目を通している手がとまる。
静寂の時が流れる。
静寂の時を切り裂く、シンタロの陽気な声。
コーチは縦に思いっきり首を振る。
シンタロはだった子のように喚く。
ジュリが持っていた書類を不機嫌そうにテーブルに置くとコーチをゆっくりみる。
ジュリは煩くするシンタロを追い出す。シンタロは不満そうにはーいって返事すると自分の部屋に戻る。
ジュリはわざと穏やかに口調で話しているが怒りを感じている。
すかさず、ジェシはフォローに入る。
ジュリはコーチの腕を掴んで引っ張って歩き出す。
ジェシは止めに入る。
コーチはジェシの手を払い除ける。
使われてない薄暗い空き部屋にコーチは放り込まれる。
ジュリは怒りに力任せにドアを閉め、外から鍵をかける。
気になったのかジェシはあと追いかけてきた。
ジュリはジェシの胸ぐらを掴み、いい放つと自分の部屋に戻る。
ジェシはドアをトントンと叩き、中の様子を気にしながら話かける。
ドア越しにコーチはジェシに冷静を装って伝える。内心、暗いところは苦手なのに…。
寂しそうに返事するジェシ。
𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!