第14話

君と過ごす最後の夜に
2,011
2021/10/04 12:48
ホクトはお風呂から出てタオルで髪を拭きながら寝室に入ってくる。
コーチは、寝支度の準備をしていた。
コーチ
コーチ
ん❓…ホク…
コーチの背後からホクトが抱きつく。
ホクト
ホクト
ちょっとこのままでいていい❓
男にこんなことされていやかもしれないけど…
ホクトの弱々しい声に反して腕の力は強くなる。
コーチ
コーチ
嫌じゃないよ…。
なんか、珍しいなって❓ホクトがこんな甘えてくるって…
コーチはホクトの腕に優しく手を添える。
ホクト
ホクト
なんか、また遠くに行っちゃう気がして…夕飯の時もコーチ…上の空ってか無理して笑ってる感じに見えて俺の気のせいならごめん。
コーチ
コーチ
そんなことないよ。
なんでそう思うの💦
あっそうだ。お風呂…入ってこよ〜かな〜
コーチはあきらかに動揺していた。
動揺を隠すように、ホクトから離れようとするが、がっちり捕まえられている。
ホクト
ホクト
話逸らすなよ。子供の頃から変わってないなそうゆうところ…子供の頃から一緒だもんわかるよ。
お前の事は…ずっとそばで見てきたから…だから、親の借金のかたに連れ去れてしまったって知った時は悔しくて何もできなくて。
ごめん。本当、ごめん。俺が…その前に助けていれば…あんなところで働かなくて済んだのに…
ホクトはいつもに増して真剣なトーンで話をする。
コーチ
コーチ
ううん。ホクトの気持ちだけで嬉しいよ。それに今こうして一緒にいるじゃん(^-^)

だし、いつも話長い割には肝心なことは…はぐらかすよね?
コーチは、ホクトの腕を振り解くと振り返りホクトと向き合う。
ホクト
ホクト
((๑・ ~・'。๑))???
コーチは自分からホクトに抱きつく。
コーチ
コーチ
俺と暮らさないって話してくれた時…すっごく嬉しかった。

…少しの間だったけどありがとう。
でも、もう大丈夫だから。
コーチがホクトに抱きついた手はかすかに震えていた。ホクトは、すぐに震えている事に気づくが…
何も出来ずに無言のままそっと抱き寄せる。
言葉にしってしまったら、何かが壊れそうで…
ホクトは向き合えなかった。
コーチ
コーチ
今日ね…屋敷のメイドのキョモさんが来て、屋敷に戻って来いってさ〜。俺がいないと大変みたいだよ。
頼りにされてるよね(-^艸^-)ヘヘヘ
だし、ここにいると居候の身で肩身が狭いし帰るね。
コーチは明るく話そうとするがかすかに涙声。
ホクトに顔が見せられず、ホクトの胸に頭をつけて俯く。
ホクト
ホクト
そんなことないよ!!

コーチが居たいなら、ずっと居ていんだよ。
コーチ
コーチ
ここは居場所じゃないんだよ…
コーチは、わざと棘のあるいい方をしてホクトから離れ、部屋を出ていく。

そして、シャワーを浴びる。

ホクトと離れたくないって何度も心の中で叫んだ。
シャワーのお湯と一緒に頬をつたう涙。
屋敷に戻らないと…

ホクトの店を潰すって脅迫されて嫌ですと言えなかった。これ以上、ホクトには迷惑かけられないし、きっとこのことホクトに伝えたら、ホクトはまた無理しちゃうじゃないかなって…。

屋敷で閉じ込められた時だって…
実は、ジェシ様にホクトに一緒には暮らせないって伝えてと言ったはずなのに…ホクトは助けに来てくれた。
そして、ホクトに甘えてしまった。
そのツケが今になってきたのかなって情けなくなる…。

コーチは、寝室に向かうと既にあかりは消されホクトは横になっていた。本当に寝ているかは定かではない。
いつもようにベッドを借りて眠りつこうとするが寝れるわけがない。
コーチ
コーチ
ホクト…寝ちゃった…
さっきは、ごめん。
ホクトと暮らした数ヶ月間は忘れないよ。



そして、一睡も出来ずに朝をむかえる。
外が薄明るくなり、コーチは支度を整え家を後にする。

家を出ると名残りおしそうに店を見て…
ホクトと自分がいた時の回想に浸る。
深呼吸して気持ちを切り替えると、屋敷に向かう。
ホクト
ホクト
…なんも言えなくてごめん。
見送りも出来なくてごめん。
ホクトは寝室の窓のカーテン越しにひっそりと見送っていた。
ホクトは、コーチにちゃんと自分の気持ちを伝えておけばと後悔していた。と同時にもう会うことはできないであろうと悟った。







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