「あのね、予定通り1週間|王宮(ここ)にいて欲しいんだ。」
『…………ん?雨やんでるけど…。』
「えっと…僕のお願い…!」
私は別にいいけど、それを王が許すか。
それに、私はいいとは言ったけど正直、これ以上いるのはちょっと…。
『王様が許さないんじゃ…。』
「お父様からの許しはもう得てある。だからあとは、アリアが嫌じゃなければ…。」
え、いやいや。王様なに簡単に許しちゃってんのー!?
仮にもまだお友達だよ!?婚約者とかならまだ分かるけどさ…。
え、まって、婚約…?
もし、もし、王がイアンと私をくっつけようとしているなら………
私にとっては最悪の自体。
いや、困るよ。婚約したら絶対、公の場とかで婚約破棄言いつけられるんでしょ。お決まりじゃん!
それは嫌だって!婚約破棄言いつけられるとか恥ずかしいって!無理よ。
ここは、遠慮していた方が…。
『でも、あの、メイドさんとかの仕事増えちゃうし…私もいつものメイドの方が落ち着くし、ここは…えっと……遠慮……………。』
なんだろ、すっごい言いにくい。だんだんイアンの顔が泣きそうになってくるし。
『遠慮……』
こ、これ以上がどうしても言えない。私の欠点は、しょんぼりした顔をされると断れないんだ。
でも、この顔(イアンの泣きそうな顔)だと誰もがみんな、断れないと思う。
「………だめ……………?」
うぅう…。いや、ちゃんと断らなきゃ!
『遠慮します。』
いっきにイアンの顔が…。わかりやすい。
『ほら、学校でも会えるし、近いからいつでもお茶出来るでしょ!』
なんとか励ます。
「…そうだよね。ごめん。」
『あ、えっと…そうだ!学校で一緒にお昼ご飯食べよ!ねっ!?』
お願いだから機嫌直して…!
イアンの顔を観察してると急にパァっと明るくなった。すっごいわかりやすい。
「…………うん!」
よかった、これでいいよね。
お昼ご飯くらいなら、ね。それに、私が誘わなくてもイアンを誘う人はいっぱいいし…。大変だな。他人事だけど。
▼
と、いうことで。
自分の家に帰ります。
相変わらずキラキラの馬車に乗って帰宅。
「また明日学校でね!」
『うん。』
あぁ、そっか。晴れたから学校が明日から始まるんだ。
学校っていうと行きたくないっていう重りがずしりとあるのに、今はそんなにない。
どちらかというと楽しみ。
馬車がゆっくり動き出した。
「じゃーね!」
『うん。また明日!』
馬車の窓から顔を出して手を振る。イアンの後ろでイアンのお母さんがニヤニヤして見守ってる。なんだ、あのニヤニヤ。
しばらくして、我が家が見えてきた。
門番の人は馬車にある紋章で王宮からだと分かったらしく、すんなり開けてくれた。
母と兄が笑顔で立って待っててくれた。
「アリアおかえり。」
『お兄様!ただいま帰りました。』
「お嬢様〜!お帰りになられたのですね!!」
馬車からおりると世話係のリーナが顔をキラキラさせて来た。別に、そこまで久しぶりってわけじゃないんだけどな。
あらためてすごく暖かい家族だと思った。
そういえば、父の姿が見当たらないな。
『お父様は……。』
「お父様はね、騎士団の集まりがあるから今頃いつもの場所で剣振り回してるわ。」
振り回してるって…。
そんなこんなで無事に帰宅。
やっぱり、我が家が1番なんですね。
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大変遅くなって申し訳ありません。
更新速度かなり遅くなりますがよろしくお願いします。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。