第2話

ypsr お酒ダメ絶対!!
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2024/01/19 12:14





ふっと少し困ったように笑いながらそこに置いてあったお酒をそっと手に取る。
その様子を僕の横にいるこの子は、眠たそうな目でただぼーっと見つめていた。



事の発端はさくらからの言葉だった。


ちょこらびの会議終わりに、特に用事もないけどさくらの家に来ていて、さくらの家に他のメンバーが置いていったお酒があったのでさくらの提案で消費も兼ねて飲もうってことになった。

それこそ最初はさくらもコーラとか、アルコールが入ってないようなジュースを飲んでいたけど俺が飲んでたの見ていいなって思ったのかな、『俺がお酒弱くなかったらもっと飲んでみたかった』って前言ってたし。それで冷蔵庫からそんなにきつくない缶を持ってきていた。


そして今に至る。



「さくらさん、もう眠いでしょあなた」

「ん〜……」


辛うじて目は開いてるけど俺の肩に軽く寄りかかるようにしてぼーっとしたまま一定の場所を見つめている。

返答にもなってない答えにくすっと笑いながら頭を軽く撫でた。
まあもう時期寝ちゃうかな、そう思っていたけどそんな時ふと1つ、疑問にも満たないようなものが頭をよぎった。


「さくらくん、」

「ん、なあに?」

「そんなんじゃ飲み会とかでもお持ち帰りされちゃうよ?」



ぽやぽやした頭で、さくらは考えている……と思う。ん〜とか言いながら頭にはてなをうかべているけど言葉は通じてるんだと思う。
そのまま数秒待った後ようやくさくらが言葉を発した。


「のまないからだいじょうぶだよ」

「もしもの話。じゃあ水だと思って飲んだのが誰かのお酒だったら?」


ゆったりとした穏やかなトーンで1番現実的なことを言うから思わずふっと笑ってしまった。
でも俺が聞きたいのは飲んでからの話だからまだ有り得そうな例え話でもう一度聞いてみる。

ちょっとだけお話したからさっきよりは頭が冷えてきたのか今度は少し早めに返答が返ってきた。



「でもその後誰かに、おれの家まで送ってもらう〜ってなって着いたら全然違う家だった〜とかならありそうだよね〜」

「……そうなったらどうするの」

「んふふ、どうしよっか、」




だめだ危機感薄すぎるよさくらくん。


『ありそうだよね〜』じゃなくてあった場合どう対処するのかを考えないといけないのに。どうしよっかはやばい。

元々さくらが危機感薄いのは知ってたけど、いくらさくらくんでもやっぱおじいちゃんって呼ばれるくらい一番大人だしよく周りも見えてるし流石にそこらへんは分かってるかなって思ったらそうじゃなかったらしい。


それに、そんな楽しそうに言うことじゃないよ??

もっと身の危険を感じてほしい。
さくらは誰から見ても本当に可愛いし、地上に立ってるってだけで本来はきっと天使なんだろうしすぐ変な男が寄ってきちゃうのに本人にその自覚が無いとなるともっと厄介だ。


「大丈夫なのそれは」

「大丈夫だよ流石に、えぇ、ここちがうよ〜みたいな、?うん。なるよ〜」



……それじゃだめださくらくん。


そんな可愛い言い方じゃ、一度持ち帰ろうとして家まで連れて行ったような男がそんなので諦めるわけないでしょ。


さくらの可愛い返答に頭を抱える。


絶対飲み会とか人が居る場所でさくらにお酒を飲ませたらだめだ。
それに絶対そういう場には俺がさくらの隣に居るようにしよう。うん。もし最初に言った例え話みたいに間違えて飲んじゃった、とか無理やり飲まされた、とかあったら大変だ。さくらのことは俺が絶対守る。


そう強く決心する僕の横で、穢れを知らない天使みたいなこの子は、持っていた水を机に置いて呑気に呟くように言った。


「まあ俺ゆぺくんが居ないと飲み会とか行かないし、もし俺がそうなったら助けてくれるでしょ?」


冗談らしくにやりと笑いながら僕を見上げる。

……思わせぶりだ。

分かっていても思わず瞳が輝いてその小さめの体をぎゅっと抱きしめた。


「もちろんですよ、」


さくらのそういう言動のせいで変な男が寄ってくるんだろうなって思って本末転倒な気もするけど、そういう奴らが居たら普通に俺が殺すし絶対さくらだけは守る。


急に俺に抱きつかれてあはは、と、こっちの決意も知らず無邪気に笑うさくらをもっとこの手から離せない理由ができた。


「とりあえずさくら、」


「お酒ダメ絶対だからね!!」











見事なタイトル回収ですね

見てもらえて感謝です。


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