第35話

開けたらそこは春と君 knyh
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2022/03/06 10:23

kn side
(ようへいさんからHAPに9時集合、というLINEがきた。割と朝早い時間だけど何するんだろう? )

けんすけはそんなことを考えながら、2階へ上がる。ようへいがベランダで待ってると言ってたので、その窓を勢いよく開けるとそこには春が広がっていた。

yh「あっ、けんすけ。おはよ 」




kn「おはようございます。って……すげー!! えっ、どうしたんすか!? この装飾? 飾り? 」




yh「ほらコロナとかでなかなか花見とか行けないじゃん? だからここで花見しちゃおうって思ったんよね。そのために桜の苗木とか提灯とか、あとその他色々買ったんよ。それっぽい雰囲気出すためにね 」



kn「あー、なるほど〜。俺も手伝いますよ。何したらいいすか? 」



yh「んー、今は特にないかな。強いて言うなら……、そこのクーラーボックスをベランダに置いてくれん? 」



kn「わかりました〜。よいしょっと 」



けんすけがクーラーボックスをベランダに置く。

yh「けんすけありがとう〜 」



kn「全然大丈夫すけど。あのようへいさん 」



yh「んー? 」



kn「何で最初に俺に見せてくれたんすか? 」



yh「え? 」



kn「いや、単純に気になったんで…… 」



yh「けんすけに1番に見てほしかったからかなあ 」



kn「1番に? 」



yh「うん、けんすけ1番リアクション良いし、ノリも良いから他に必要なものとか、アイデアとか考えてくれそうだなって思ったから呼んだんよ。もしかして、なんか用事あった? 」



kn「あっ、それは大丈夫なんすけど……。えっと、なんかありがとうございます……// 」



yh「うん? どういたしましてって言っていいのかな? わからんけど(笑) 」



kn side
(頼ってくれたのも、1番に見てほしいって言われたのも嬉しかったけど……。少しもやっとするなあ。1番に見てほしいなんて言われたら期待しちゃうじゃん! 自分と同じ気持ちなんじゃないかって。まあ、でもようへいさんがそんな風に思ってるわけないか…… )

けんすけがそんなことを思い巡らせていると、ふとようへいの頭に桜の花びらがついていることに気づいた。

kn「ようへいさん、髪の毛に花びらついてますよ 」



yh「えっ、どこどこ? 」


花びらを探している様子を見て、けんすけは顔を綻ばせながら彼の髪についている花びらをとる。その花びらがどこにも行ってしまわぬように。慎重に。

kn「ここです。とれましたよ 」



yh「ん、ありがとうね 」



kn「…… 」



yh「……けんすけ? 」

ようへいがそう呟いた瞬間、けんすけが彼の頬に指先でそっと触れる。

yh「ん? まだ何かついてた? 」

ようへいは不思議そうな顔をしたが、けんすけは気にせずに彼の顔の輪郭をなぞる。指は輪郭をなぞったあと、耳の形を確認し、うなじに触れる。壊れものを扱うように。優しく。

yh「ちょっとけんすけ、くすぐったいんだけど……/// 」



kn「…… 」



yh「……けんすけ//? 」



kn「綺麗です 」



yh「えっ……//? 」



kn「あっ、すっすみません!// その……ようへいさんが綺麗だったからつい…… 」



yh「……こんなおじさんに何言ってんの// 全然綺麗じゃないよ……// 」



kn「……綺麗ですよ// 今日も……いや、いつもそう思ってます……// 」



yh「あっ、そう……// 」



kn「ようへいさん 」



yh「何……//? 」



kn「……もう少しだけ触れてもいいですか? 」



yh「ダメ、触るの禁止// 」



kn「……そうすか。嫌なのに顔とか触っちゃってすみません。気持ち悪かったすよね…… 」



yh「仕事終わったら…… 」



kn「え? 」



yh「……仕事終わった後ならいいよ// 別にけんすけに触れられるのその……嫌いじゃないから……// 」



kn「そんなこと言われたら、今触れたくなっちゃうんすけど……// 」



yh「ダメ、今は禁止// 」



kn「わかりました。その分仕事が終わったら……いいですよね? 」



yh「……ん、まあいい……よ// 」

kn side
(ようへいさん俺ね、桜のように漂ってどこかに行ってしまいそうなあなたを



この春の景色とともに留めておきたい……なんてそんなことを考えてしまう。













この想いは俺だけの春の隠し事 )






 

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