第36話

落ち着かない乾き kntn
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2022/03/12 13:25

tn side
(なんでこんなことになったんだっけ? あっ、そうか俺が言ったんだ……。めんどいこと言っちゃったなあ )


数分前たなっちは事務仕事が終わり、少し休憩しようと考えていた。

tn「あー、疲れた〜 」


たなっちがそんなことを呟いていると、部屋のドアが開く音がした。

kn「あれ、たなっちさん? おつかれ様です 」



tn「けんすけお疲れ〜。どしたの、なんか探してんの? 」

 

kn「そうなんすよー、はじめさんのメインで使う道具探してて。明日使うんすけど 」

tn「何探してんの? 」



kn「ハンドクリームっす。俺も具体的に何するかはまだ聞いてないです(笑) 」



tn「あの人のすることって未だに想像できないことあるよね(笑) 」



kn「ほんまに(笑)。てか、たなっちさんめっちゃ手荒れてますね 」



tn「あー、うん。まあ……。最近手消毒する機会多いし、昨日水使う企画やったから一気に荒れちゃったんだよね 」



kn「ハンドクリームつけた方がいいすよ 」



tn「あれベタベタするし、いちいちつけんのめんどいもん。あっ、そうだ! けんすけ塗ってよ。そしたら俺楽じゃん! なーんて…… 」



kn「いいっすよ。こんな荒れてる手見たら、逆に塗りたくなりますよ。ほら手、出してください 」



tn「えっ、マジでいいの? ラッキー 」

たなっちはそんなことを言いつつ、けんすけの前に手を置く。

kn「塗りますよー 」



tn「んー。……うわ、やっぱベタベタする 」



kn「塗んないともっと荒れて、手洗うときとか痛くなりますよ。すぐ終わるんで我慢してください 」



tn「わあたよ。我慢するよ 」

けんすけはたなっちの手の甲をゆっくり撫で、指の腹で彼の指とささくれを優しく触る。

kn「…… 」



tn「…… 」



kn「…… 」



tn「……長くない? 」



kn「そうすか? 」



tn「いや、適当にさっと塗って終わりかなって思ってたわ 」



kn「ささくれとか手荒れって、皮膚の水分や皮脂不足が原因でなるんすよ。だからこうやって、ハンドクリーム塗ってマッサージすることで改善されるし、血行も良くなるんですよね 」



tn「へー。あー、だからけんすけの手っていつも綺麗なんだね 」



kn「そっ、そうすか。ありがとうございます……。そんなことより、よく見たら爪割れちゃってますね。保護ネイルも塗っときますよ 」



tn「んー、じゃあお願い 」



kn「わかりましたー 」



tn side
(お願いとは言ったものの、マッサージ気持ちよくて眠たくなっちゃったなあ。昨日あんま寝てなかったから余計に眠い。やばい寝る…… )

kn「あれ、たなっちさん? 」



tn「…… 」



kn「たなっちさーん? 寝ちゃったぽいな…… 」

kn side
(手マジでひび割れちゃってるな。ささくれもひどいし。それに気づかないほど仕事忙しいのかな。俺が言うことでもないけどもっと自分を労ってほしい…… )

kn「心配なんですよ、好きだから…… 」

tn side
(どういうこと? 好き? てか俺うとうとしてただけで起きてるんですけど。起きてなんか言ったほうがいいのか知らないふりしたほうがいいのか……。うーん、どうしよう )

たなっちはそんなことを考えながら寝たふりをしていた。数分後、けんすけがたなっちを起こそうと再び声をかける。

kn「たなっちさん、できましたよー 」



tn「あっ! やば、寝てた 」



kn「大分疲れ溜まってたんすかね? じゃ、マッサージも終わったんで、俺はじめさんところ戻りますね 」


tn「わかったー。けんすけあんがとね 」



kn「大丈夫すよ。てかこれからは自分でも保湿してくださいね 」



tn「わかったよ、クリーム塗るよ 」



kn「あとそれと…… 」



tn「ん? 」



kn「俺たなっちさんのこと『心配』なんすよね 」



tn「それってどういう……。あっ、気づいて……!// 」



kn「ふふふ。そんじゃ、失礼しました〜 」



そう言いながらけんすけは部屋をあとにした。

tn side
(寝たふりしてたのバレてたのかよ。あいつわかってて言ってたな……// 絶対。
けど、また手が荒れたらハンドクリームを塗ってもらえるって期待して……。何考えてんだ俺!


これからは手が乾燥するたびに心臓の音うるさくなるんだろうか……// )

たなっちはそんなことを考えながら、数十分ほど自分の手をじっと見つめていた。




















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