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2022/01/22

第16話

銀河鉄道の夜 九 ジョバンニの切符 1
九 ジョバンニの切符きっぷ
鳥捕り
もうここらは白鳥のおしまいです。ごらんなさい。あれが名高いアルビレオの観測所かんそくじょです
 まどの外の、まるで花火でいっぱいのような、あまの川のまん中に、黒い大きな建物たてものが四むねばかり立って、その一つの平屋根ひらやねの上に、もさめるような、青宝玉サファイア黄玉トパーズの大きな二つのすきとおったたまが、になってしずかにくるくるとまわっていました。黄いろのがだんだんこうへまわって行って、青い小さいのがこっちへすすんで来、まもなく二つのはじは、かさなり合って、きれいなみどりいろの両面凸りょうめんとつレンズのかたちをつくり、それもだんだん、まん中がふくらみだして、とうとう青いのは、すっかりトパーズの正面しょうめんに来ましたので、みどりの中心と黄いろな明るいとができました。それがまただんだんよこれて、前のレンズの形をぎゃくにくりかえし、とうとうすっとはなれて、サファイアはこうへめぐり、黄いろのはこっちへすすみ、またちょうどさっきのようなふうになりました。銀河ぎんがの、かたちもなく音もない水にかこまれて、ほんとうにその黒い測候所そっこうじょが、ねむっているように、しずかによこたわったのです。
鳥捕り
あれは、水のはやさをはかる器械きかいです。水も……
鳥捕とりとりがいかけたとき、
車掌
切符きっぷ拝見はいけんいたします
三人のせきよこに、赤い帽子ぼうしをかぶったせいの高い車掌しゃしょうが、いつかまっすぐに立っていていました。鳥捕とりとりは、だまってかくしから、小さな紙きれを出しました。車掌しゃしょうはちょっと見て、すぐをそらして
車掌
(あなた方のは?)
というように、ゆびをうごかしながら、手をジョバンニたちの方へ出しました。
ジョバンニ
ジョバンニ
さあ
ジョバンニはこまって、もじもじしていましたら、カムパネルラはわけもないというふうで、小さなねずみいろの切符きっぷを出しました。ジョバンニは、すっかりあわててしまって、もしか上着うわぎのポケットにでも、はいっていたかとおもいながら、手を入れてみましたら、何か大きなたたんだ紙きれにあたりました。こんなものはいっていたろうかと思って、いそいで出してみましたら、それは四つにったはがきぐらいの大きさのみどりいろの紙でした。車掌しゃしょうが手を出しているもんですからなんでもかまわない、やっちまえと思ってわたしましたら、車掌しゃしょうはまっすぐに立ちなおってていねいにそれを開いて見ていました。そして読みながら上着うわぎのぼたんやなんかしきりになおしたりしていましたし燈台看守とうだいかんしゅも下からそれを熱心ねっしんにのぞいていましたから、ジョバンニはたしかにあれは証明書しょうめいしょか何かだったと考えて少しむねあつくなるような気がしました。
車掌
これは三次空間じくうかんの方からおちになったのですか
車掌しゃしょうがたずねました。
ジョバンニ
ジョバンニ
なんだかわかりません
もう大丈夫だいじょうぶだと安心しながらジョバンニはそっちを見あげてくつくつわらいました。