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2022/01/08

第14話

銀河鉄道の夜 八 鳥を捕る人 2
二人
ほんとうにさぎだねえ
二人ふたりは思わずさけびました。まっ白な、あのさっきの北の十字架じゅうじかのように光るさぎのからだが、十ばかり、少しひらべったくなって、黒いあしをちぢめて、浮彫うきぼりのようにならんでいたのです。
カムパネルラ
カムパネルラ
をつぶってるね
カムパネルラは、ゆびでそっと、さぎ三日月みかづきがたの白いつぶったにさわりました。頭の上のやりのような白い毛もちゃんとついていました。
鳥捕り
ね、そうでしょう
鳥捕とりとりは風呂敷ふろしきかさねて、またくるくるとつつんでひもでくくりました。だれがいったいここらでさぎなんぞたべるだろうとジョバンニは思いながらきました。
ジョバンニ
ジョバンニ
さぎはおいしいんですか
鳥捕り
ええ、毎日注文ちゅうもんがあります。しかしがんの方が、もっと売れます。がんの方がずっとがらがいいし、第一だいいち手数てすうがありませんからな。そら
鳥捕とりとりは、またべつの方のつつみをきました。すると黄と青じろとまだらになって、なにかのあかりのようにひかるがんが、ちょうどさっきのさぎのように、くちばしをそろえて、少しひらべったくなって、ならんでいました。
鳥捕り
こっちはすぐたべられます。どうです、少しおあがりなさい
鳥捕とりとりは、黄いろのがんの足を、かるくひっぱりました。するとそれは、チョコレートででもできているように、すっときれいにはなれました。
鳥捕り
どうです。すこしたべてごらんなさい
鳥捕とりとりは、それを二つにちぎってわたしました。ジョバンニは、ちょっとたべてみて、
ジョバンニ
ジョバンニ
(なんだ、やっぱりこいつはお菓子かしだ。チョコレートよりも、もっとおいしいけれども、こんながんんでいるもんか。この男は、どこかそこらの野原の菓子屋かしやだ。けれどもぼくは、このひとをばかにしながら、この人のお菓子かしをたべているのは、たいへんきのどくだ)
とおもいながら、やっぱりぽくぽくそれをたべていました。
鳥捕り
も少しおあがりなさい
鳥捕とりとりがまたつつみを出しました。ジョバンニは、もっとたべたかったのですけれども、
ジョバンニ
ジョバンニ
ええ、ありがとう
いって遠慮えんりょしましたら、鳥捕とりとりは、こんどはこうのせきの、かぎをもった人に出しました。
燈台看守
いや、商売しょうばいものをもらっちゃすみませんな
その人は、帽子ぼうしをとりました。
鳥捕り
いいえ、どういたしまして。どうです、今年のわたどり景気けいき
燈台看守
いや、すてきなもんですよ。一昨日おととい第二限だいにげんころなんか、なぜ燈台とうだいを、規則以外きそくいがいに間(一時空白)させるかって、あっちからもこっちからも、電話で故障こしょうが来ましたが、なあに、こっちがやるんじゃなくて、わたどりどもが、まっ黒にかたまって、あかしの前を通るのですからしかたありませんや、わたしぁ、べらぼうめ、そんな苦情くじょうは、おれのとこへって来たってしかたがねえや、ばさばさのマントをあしと口との途方とほうもなくほそ大将たいしょうへやれって、こうってやりましたがね、はっは
 すすきがなくなったために、こうの野原から、ぱっとあかりがして来ました。
カムパネルラ
カムパネルラ
さぎの方はなぜ手数てすうなんですか
カムパネルラは、さっきから、こうと思っていたのです。
鳥捕り
それはね、さぎをたべるには
鳥捕とりとりは、こっちになおりました。
鳥捕り
天の川の水あかりに、十日もつるしておくかね、そうでなけぁ、すなに三、四日うずめなけぁいけないんだ。そうすると、水銀すいぎんがみんな蒸発じょうはつして、たべられるようになるよ