その日は、私が家事をやっていて
二人とも帰りが遅かったんだ
あとであなたさんに聞いたら
「呪い、と言って分かるか?」
「あの人は狙われやすいんだ」
と、それだけは言ってくれた
まぁ、私はなにも分からなかったが
そんな日が何日かあって、
花音さんもやつれていって
なんてやり取り、何回目だが
そんなある日、花音さんと二人で帰ることになった
そして、あなたさんの言ってた事がやっと分かった
その時は「呪術師」と名乗る人が助けてくれた
それから、二人を助けたくて、助けられなくて
自分が嫌だった
「身の守り方」と「弱い敵の倒し方」
この二つは出来るようになった
守れるようになれた
でも、強い敵には到底勝てやしない
私は「視える」だけだから
あの人みたいに「戦う」は出来ない
だから、だから、武器を作るんだ
弱い私が戦えるように
作れる人はあなたさんから紹介してもらった
それから花音さんの近くにいながら、作って、作って
…大切な時に、役立たずの私は、守れなかったんだ
何よりも大切だったあの人を…
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。