第9話

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2019/04/23 12:19
あれから10分も経っていないだろう。
宿は無事、私が元々泊まる予定だった場所と同じ建物で新たに二人分の部屋を予約することが出来た。

その束の間の喜びを押しつぶしていくかの様に負の感情は大きくなる一方。
聞くべきか聞かざるべきなのか、選択に戸惑う。
シルクロード
部屋、確保出来た?
貴方
出来ましたよ!無事に任務を遂行致しました!
シルクロード
よっしゃ!良くやったぞ、褒めてつかわす。
貴方
ふふっ有難き幸せ。
シルクロード
…何かあった?
流石普段から大人数を束ねているだけあって彼は鋭い。
私は少し沈黙し、口を開いた。
貴方
いえなんでもありません、お腹が空いたなと。
シルクロード
そうか、何も無いなら良いんだ。
何か小腹満たしに行こうか。
私は問いただすことを辞めた。
冷静になると容易に分かることだ。
たかだか会って一日や二日、こんなにも短い期間で一人の人間を繋ぎとめておきたいなどと思う筈がない。
私は彼に気持ちを読まれてしまわないように努めることに決めた。
貴方
そうですね!丼ものでも食べましょう!
シルクロード
小腹じゃなくて完全に腹満たしにいこうとしててウケるな
彼は屈託の無い笑顔で、そう返してくれた。
シルクロード
飯食ったら俺は少し用事足しに行くけど、大丈夫?
撮影等の仕事だと分かり、ゴネる訳にもいかなかった。仕方がない。
昨日出来なかった分溜まってしまっているのだろうか、申し訳なくなる。
貴方
大丈夫ですよ、夜も無理してわざわざいらっしゃらなくて良いですからね。あくまでもお仕事が優先です。
シルクロード
ありがとう。でも絶対行くから、信じて。
貴方
あははっ、ありがとうこざいます。
あまり期待せず待ってますね!
シルクロード
ムゥ…
つい笑ってしまった。なんて真っ直ぐな人なんだろうか。
この時…いやきっともう少し前からなのかもしれない。私はファンとしての憧れではなく、ひとりの男性として純粋に彼に惹かれていた。
帰りの便は明日の午前中。
時間が過ぎる度に膨れ上がっていく気持ちを必死に抑えつつ、東京旅行の二日目が始まる。

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