第5話

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2019/04/15 03:21
シルクロードの勧める居酒屋に入店して早数時間。

飲み放題プランもそろそろ終わりに近づき、それはこの打ち上げのお開きを意味する。
幸せな時は進むのが早いと良く聞くが、実際にこうも痛感するのは初めてかもしれない。
貴方
そろそろL.O(ラストオーダー)みたいですね
シルクロード
そうれすね…とりあえず僕は生をいたらきます…
初対面とはいえど何時間と同じ空気を吸い、同じ席でお酒を酌み交わせば必然と親しくもなる。
ひとつ分かったことがある。
彼はアルコールにめっぽう強いが、私の方が耐性があったのだ。
次へ次へと同じ頻度でグラスを変えていた筈が、彼だけ酔っ払ってしまったらしい。
私は百歩譲ってもほろ酔い程度だ。
貴方
もう止められた方が宜しいのでは…?
最後の分は私が飲みますのでお会計を済ませてしまいましょう。
最後の麦酒を飲み干し精算を済ませ、名残惜しいが彼に肩を貸しつつ共に店を出た。

ここからが問題だ。
私は大きな壁にぶち当たる。
貴方
シルクさんをどうやって家に帰そう…
心配する私をよそに彼は何とか立つことだけが出来ている状態。
彼は男性であれど世間に顔が知られている人間。
世の中は物騒な事ばかりだ、置いて行けるはずはない。
シルクロード
タクシーやびましょ
貴方
本当に大丈夫ですか?
なるべく聞かないように善処しますので、タクシーの運転手さんには自力で住所を伝えてくださいね。
景色は見ないようにしながら横にいますから。
シルクロード
了〜解です!リョウだけに!
貴方
下の名前、諒さんだったんですね…
一緒にタクシーに乗り込み、彼は辿々しくも行き先を告げる。私は知ってはいけないと思い耳を塞ぐ。

車は走り出した途端に彼は眠ってしまったようだ。

町内の灯りが車窓から入り込み彼の長い睫毛が照らされているのを見て、私はとても綺麗だと思った。

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