第3話

『君月』11〜15
337
2020/02/01 02:12

*11*




っ//!!!……………なんで…?


彼は私を抱きしめ、




ヒ:良かった…無事で…




と言うと、もう少しだけ キツく抱きしめた。


優しい…

でもそれが……辛い。




〇:私が…『探してる人』かも知れないから?死なれたら困る?もしかしたら、殺人容疑で捕まっちゃうかも知れないもんね!不法侵入だし!痴漢だし!ストーカーだしッ!!!




私なんかに…近づかないで……


どうせ皆んな…居なくなっちゃうんだから。





ヒ:そんな事…せんから。

〇:…は?

ヒ:〇〇の側に居りたいねん。

〇:人探しとか何とか言って!あなたは私にキスしたいだけでしょ!!!




お願い…だから……

私の側に居たいなんて…
言わないで。




ヒ:『今は昔…




っ!!!なんで?!!!




ヒ:竹取翁といふものありけり』









〇:どうして それを?

ヒ:好きやろ?

〇:えっ?

ヒ:『竹取物語』…『かぐや姫』






*12*


私は幼い頃の思い出が無く…

母に教えられたのは、この『かぐや姫』をよく読み聞かせてもらってた事くらい。





母:いつか〇〇も、素敵な人がお迎えに来るのよ?





そんな母の言葉が印象的で、言われた時の事を、鮮明に憶えている。


そんな母も、私が20歳を迎えると、父の後を追うように、天国へと旅立ってしまった。







ヒ:俺が探しとるのは………





吸い込まれそうな 真剣な眼差し…





ヒ:かぐや姫や。


























やっぱりヤバい奴や〜んッ!!!





*13*


〇:そりゃあ、分かるでしょうね?本棚に『竹取物語』や『かぐや姫』ばっかり並んでるんだからね!!!

ヒ:へっ?俺、ウソ付いとらんで?〇〇が姫やと思うたから…

〇:いい加減にして!!!




♪〜ピンポーン〜♪



え、誰だろう?


渋々、インターフォンの画面まで行くと、管理人さんのマドカさんだった。


ヤバ!!!
うるさかったかなぁ??




〇:お願い!静かにしててよ!!!




私は彼に そう念を押すと、玄関まで行き、一呼吸整えてからドアを開けた。




〇:は〜い!どうされました?

マ:あ〜〇〇ちゃ〜ん?なんか騒がしいって苦情があったんだけど…誰か来てるの?

〇:えっ?いや、あの…

ヒ:あ、どうも!こんばんは!

〇:え"ッ!チョット出てこなくてイイよっ!

マ:あら、今晩は〜〇〇ちゃんの彼氏さんかしら??

〇:ち、違いますよぉ〜!




待ってよぉもぉ〜!
こうなるから嫌だの!!!






*14*


ヒ:〇〇の兄貴です!こう見えても、俺ら双子なんすよ!…でも、男女やし二卵性やから、そんなに似てへんけどww

マ:あら、そうなの?

ヒ:でもほらっ!瞳の色!!!




彼が肩を組んできて、私の顔の隣に自分の顔を並べた//




ヒ:同じやろ?




マドカさんは、私と彼の瞳を交互に見ると「ホント、変わった色ね〜」と感心した。




ヒ:琥珀色って言われてます。月の色なんです!

マ:あらっ!なんだか素敵〜♡

ヒ:ありがとうございますw

マ:今夜は泊まりかしら?

ヒ:はい!

〇:エッ!

ヒ:ええやろ?今日 疲れてんねん!

マ:まぁ、いいじゃないの〜たまには兄弟水入らずよ!w

ヒ:ですよねぇ〜ww






玄関の扉を閉めると、急に静まり返った。




泊まるだって?




いや、それよりも…

同じ…琥珀色の瞳。





*15*


瞳の色。




だからあの時…

彼が目を覚ました瞬間に、何かに撃たれたような衝撃を受けたんだ…




〇:ねぇ?

ヒ:ん?




なぜか、リビングのソファーでくつろいでる彼の側まで寄って、瞳を覗き込んだ。



『月の色』



私と同じだ。


自分以外では、初めて見た。









綺麗…










近づく瞳…

そっと触れる てのひら…

感じる吐息…





ヒ:ええ?

〇:へっ?……イヤッ!!!





キス寸前の彼の顔を、両手で押し返した。



あっぶなぁ〜〜!!!

もう少しで、思うツボだったぁ〜〜!!!





ヒ:な〜〜んでやねん!確認させてぇぇぇ?

〇:何が確認よ!早く帰って!!!

ヒ:え?泊まるよ?

〇:はぁ?本気でバカなの?

ヒ:っ!バカは言うたらあかんッ!!!

〇:・・・典型的。

ヒ:は?何がや!

〇:ズカズカ踏み込んでくるって言うか〜図々しいのよ!関西人は!

ヒ:っ!はぁァァァァァァんッ!!!





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