第53話

『君月』256〜260
139
2020/02/03 06:58


*256*



杉:皆さ〜ん!急なんですが…今日から新しい仲間が増えます!重岡くん、こっち来て!





エ"ッ!!!ウチの部署?!!!

デスクどぉすんのよ?

って…あれ?

ウチの新人ちゃんが居ない…





〇:ねぇ?ウチの新人ちゃん…どこ行ったの?





恐る恐る聞いた。



まさか…消されたとか、そういう事……?

ルトゥになら、出来るし…





カ:えっ!〇〇知らないの?社長秘書との不倫がバレたのよ!





っ!!!





〇:っ!ふっ!!!フリ…ングッ!…

カ:ちょっ!! 声 大きい!





カレンの手が、私の口を塞いだ!





カ:他店に飛ばされたみたい…

〇:それって…本当の事?

カ:え、どういう意味?

〇:……ルトゥの仕業じゃ…





カレンのデスクでコソコソ話してると…





シ:お隣 失礼しま〜す!





ニカッ!っと笑ったシゲさんが、荷物が詰まった収納ケースを持って来た。






*257*


カ:は、はい……

シ:なんや?俺が怖いか?

カ:っ!…そんな事ないです!

シ:あひゃっ!w 強がりさんっww

カ:っ!!!






膨れるカレンをチラ見しながら、シゲさんは一人分の引っ越しを始めた。



渋々、私がデスクに戻ろうとすると…





シ:あ〜姫ちゃん??ホレ、アレ!





と、親指で指した先には…


何事も無かったかの様に、デスクに着いてる…








濵田先輩…








シ:話しといたから。

〇:えっ!あの事ですか?

シ:これ以上 悪さしたら…容赦せんって、言うたったわ!

〇:よ、容赦って!…辞めてくださいよ!

シ:……まだ好きなんか?…酷い事されてんやで?

〇:っ!……そんな簡単に…

シ:とにかく!…プライベートでは会わない事。…分かったな?






何も言い返せない…



先輩の言葉を思い出したから…









「誰かに狙われてシんでもええ…」







*258*



そんな事になったら…


先輩が心配だった。













デスクに着くなり、課内メールがきた。



{今夜の歓迎会 全員出席!!!}




か、かなり…強引だ…













「ヒ:雨 降ってきたで?」





午後の休憩中。

コーヒーのカップに手を添え、ボーッ…と、どこかを見つめていた時だった。





〇:ん?えっ??





急で、ビックリしたのもあり、ココに彼が居るのかと、キョロキョロしてしまった!





「〇:あ…こっちか……」

「ヒ:ふふっw どした?」

「〇:ううん。ちょっと疲れただけ…シゲさん来たりして…」

「ヒ:シゲ?」

「〇:うん、会社に来てるよ。…知らなかったの?」

「ヒ:おん………あ!傘もってるか?」

「〇:ううん。」

「ヒ:帰り、持ってこか?」

「〇:あ〜今日はシゲさんの歓迎会だから…」






*259*



「〇:だからイイよ。カレンに入れてもらうし、ヒドかったらコンビニで買うから!」

「ヒ:そっかぁ……歓迎会とか…アイツも居るんやろ?」

「〇:まぁ 居るけど……シゲさんも居るし、心配しないで大丈夫だよ?」

「ヒ:おん…せやな!」

「〇:うん。ありがとね?w」

「ヒ:あ…〇〇?……あのさ…」

「〇:ん??」

「ヒ:あ//…会いたい…なぁ……なんて//…」

「〇:え//…うん……私も…かな///」






シ:アレあれぇ〜ww





っ!!!ビクッっ!!!


ニヤついてる私の顔を覗き込むシゲさん。






「ヒ:…シゲか?」

「〇:う、うん…じゃあ、またね…」






私は彼との通信を閉じた。





シ:アヒャヒャッw そないビックリしたぁ?ニヤついちゃってぇ〜w





…た…楽しそ………だな…


私は、そのテンションに付いて行けなかった。






*260*


シ:なぁ?雨降ってもうたやん?

〇:…うん。

シ:月光 浴びれないからさ…パワーもらえないかな?

〇:っ!…ぱ、パワーっ?!!…そ、そんなのどうやって?





シゲさんがまた、突拍子もない事を言ってきたかと思った。





シ:そんなん簡単やん!…神ちゃんとキスしたらええねん!

〇:ッ//!!…き、き、き、キ……す、ス……///

シ:またまたぁ〜w いつもしとるんやろ?…チュッチュチュッチュ♡

〇:っ//!!……し、してませんッ!!!

ヒ:何やね〜ん!さっき、ニヤついとったクセにぃ〜ww

〇:う、ウルサイッ!と、とにかく!キスなんてしませんから!!!






もぉ〜〜!シゲさんって、キライッ!!!


デリカシー無さ過ぎッ!!!








はっ!!!








そうだ…







彼も…最初はそうだったかも……






そう思うと…









本気でキライには、なれなかった。





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