第81話

『君月』370〜375
104
2020/05/28 04:29
*370*





〇:えっ、うそっ!、、目覚めちゃったの!

シ:なんや、その言い方〜w

〇:だってぇ!、目覚める時に側にいてあげた…






えっ…うそ…






そこまで言って、気付いた。


ゆっくりと近づくシゲさんの、腕の中に…


小さな白い…





〇:、、、ま、まさか……そのコ…




シ:、、え?、覚えとるぅ??w




眉を上げて、おちゃらけ顔で そう言う。


今まで、こんな嬉しそうなシゲさんは見たことがない!!!




ニヤけてるのもあるけど、

それ以上に、愛おしそうに そのコを抱えてる姿。







ル:ニャぁ?






はあああああぁぁぁぁ〜〜♡



一声で分かるよぉ〜!!!







〇:っ、、ルナぁ〜〜♡






シゲさんの腕から、伸ばした私の腕に移り…



私の顔をクンクン臭うと、








「ル:〇〇…」








*371*





「ル:〇〇…」





ッ!!!





〇:ルッ!ルナッ!!!あなた、交信できるのっ?!!!


「ル:大毅に、訓練してもらったの。、、いつか 〇〇と…話したくって…」


〇:シゲさん…、、、ホント…ありがとう……







ルナが、生きているなんて…



私は、それだけで幸せだった。






「ル:〇〇、、、キレイになったね?!」

〇:もぉ〜ルナぁ〜ww







ルナを強く抱きしめ、私は笑って…








泣いた。







失ったと思っていた家族が…存在していたから。








シ:なぁ姫ちゃん?

〇:ん?

シ:家族なら…まだまだ居るでww







シゲさんに連れて来られた部屋の自動扉が開くと…




「ニャー♡」と、こっちへ向かってくる、白猫と黒猫ちゃんたち!






〇:うそや〜〜ん♡、可愛いすぎるぅ〜〜♡

シ:みんな家族や!

〇:うん!、、、うれし…ッ……







*372*




溢れ出る涙は…





今まで あった、たくさんの辛い想いを…





洗い流していく様だった。

























翌日。






シ:姫ちゃんに見せたい物があるんやけど…





と、シゲさんに連れ出された。




お城の中腹。

なが〜い廊下の突き当たりにある自動扉を、シゲさんが掌認証で開くと、





シ:入って?、、、ココ…俺の部屋。

〇:えっ…//、、う、うん。





ひとりで来たの、、、間違いだったかな…


私は、男の人の部屋へ ひとりで入る事に、戸惑っていた。





シゲさんはスタスタと、広い部屋のリビングへと向かい、何かを手に取った。





シ:、、コレ…なんやけど…





私は不安を隠せず、ゆっくりと近寄り、

それを受け取り、「そこ座って?」と促されたソファーへ、ゆっくりと腰を下ろした。



膝の上に乗せ、ゆっくりと、、、開くと…






*373*




〇:こ、これって…?

シ:俺の、、家族や。





そのアルバムには、本当に幸せそうな家族の写真が、たくさん並べられていた。





〇:ここに写ってる、、、両親……は…?





私は、恐る恐る聞いてみた。





シ:俺らを守って…亡うなった。





やっぱり…

シゲさんに、家族が居ない事は、薄々感じていたから。





シ:ルナが俺を救ってくれた。、、孤独やった俺に、、家族や言うて、守ってくれたんや。

〇:……そう…だったんだ。





私も、ルナに救われたから解るよ。

家族って…大切なんだね。





シ:〇〇?

〇:っ//、、んぇ??






急に、名前で呼ばれたから、、//

なんか、変にドキドキしちゃって…






シ:カプセルの中でも、意識は無くても、、〇〇の声、聞こえとった。

〇:っ、ホントに?!

シ:おん。ありがとな!









*374*



私の中でシゲさんは、怖い人だった。

なのに今は、「ありがとな!」ってニッコリ笑ってる。



シゲさん、だいぶ変わったな。



人間に、近づいてるのかもな。






〇:ううん。私は…自分の為に、シゲさんに声をかけていたんだと思う。

シ:それでも、、、〇〇が居なかったら、俺は目覚めんかったから。






シゲさんは、優しく…


暖かく微笑んだ。




届かないと思っていた想いが…


届いたのかな…






シ:俺…側に居ってええか?

〇:っ、えっ///

シ:俺に…〇〇を守らせて欲しい。






さっき見た写真の、幼い時の眼差しのまま。




シゲさんの瞳も、透き通った琥珀の月の色で…














真っ直ぐに…















ただただ、、、真っ直ぐに…

















私だけを見ていた。









*375*






〇:はい。






真っ直ぐに口にした言葉。


偽りではない事を…確信した。








シゲさんは、ニコッ!っと照れ笑いを噛みしめると…








私を優しく…



抱きしめた。














アレから、シゲさんは事あるごとに私に会いに来ては、私を笑顔にしてくれた。

式典でも、SPの様に側に張り付いていて、桐山さんにも呆れられていた。






シ:なぁ?〇〇?

〇:何?シゲさん??





会話する私たちを、不思議そうに見ていたルナが、切り出した。





「ル:そろそろ、“ シゲさん ” じゃなくて、“ 大毅 ”って呼んだら?」

「〇:エッ!でも、でもっ!」

「ル:家族……でしょ?」

「〇:っ//、、ま、まぁ…//」






男の人を名前で呼ぶって…

私の中では、ホント特別で…



だから、仲良くなってからも、それだけは躊躇していた。






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