*370*
〇:えっ、うそっ!、、目覚めちゃったの!
シ:なんや、その言い方〜w
〇:だってぇ!、目覚める時に側にいてあげた…
えっ…うそ…
そこまで言って、気付いた。
ゆっくりと近づくシゲさんの、腕の中に…
小さな白い…
〇:、、、ま、まさか……そのコ…
シ:、、え?、覚えとるぅ??w
眉を上げて、おちゃらけ顔で そう言う。
今まで、こんな嬉しそうなシゲさんは見たことがない!!!
ニヤけてるのもあるけど、
それ以上に、愛おしそうに そのコを抱えてる姿。
ル:ニャぁ?
はあああああぁぁぁぁ〜〜♡
一声で分かるよぉ〜!!!
〇:っ、、ルナぁ〜〜♡
シゲさんの腕から、伸ばした私の腕に移り…
私の顔をクンクン臭うと、
「ル:〇〇…」
*371*
「ル:〇〇…」
ッ!!!
〇:ルッ!ルナッ!!!あなた、交信できるのっ?!!!
「ル:大毅に、訓練してもらったの。、、いつか 〇〇と…話したくって…」
〇:シゲさん…、、、ホント…ありがとう……
ルナが、生きているなんて…
私は、それだけで幸せだった。
「ル:〇〇、、、キレイになったね?!」
〇:もぉ〜ルナぁ〜ww
ルナを強く抱きしめ、私は笑って…
泣いた。
失ったと思っていた家族が…存在していたから。
シ:なぁ姫ちゃん?
〇:ん?
シ:家族なら…まだまだ居るでww
シゲさんに連れて来られた部屋の自動扉が開くと…
「ニャー♡」と、こっちへ向かってくる、白猫と黒猫ちゃんたち!
〇:うそや〜〜ん♡、可愛いすぎるぅ〜〜♡
シ:みんな家族や!
〇:うん!、、、うれし…ッ……
*372*
溢れ出る涙は…
今まで あった、たくさんの辛い想いを…
洗い流していく様だった。
翌日。
シ:姫ちゃんに見せたい物があるんやけど…
と、シゲさんに連れ出された。
お城の中腹。
なが〜い廊下の突き当たりにある自動扉を、シゲさんが掌認証で開くと、
シ:入って?、、、ココ…俺の部屋。
〇:えっ…//、、う、うん。
ひとりで来たの、、、間違いだったかな…
私は、男の人の部屋へ ひとりで入る事に、戸惑っていた。
シゲさんはスタスタと、広い部屋のリビングへと向かい、何かを手に取った。
シ:、、コレ…なんやけど…
私は不安を隠せず、ゆっくりと近寄り、
それを受け取り、「そこ座って?」と促されたソファーへ、ゆっくりと腰を下ろした。
膝の上に乗せ、ゆっくりと、、、開くと…
*373*
〇:こ、これって…?
シ:俺の、、家族や。
そのアルバムには、本当に幸せそうな家族の写真が、たくさん並べられていた。
〇:ここに写ってる、、、両親……は…?
私は、恐る恐る聞いてみた。
シ:俺らを守って…亡うなった。
やっぱり…
シゲさんに、家族が居ない事は、薄々感じていたから。
シ:ルナが俺を救ってくれた。、、孤独やった俺に、、家族や言うて、守ってくれたんや。
〇:……そう…だったんだ。
私も、ルナに救われたから解るよ。
家族って…大切なんだね。
シ:〇〇?
〇:っ//、、んぇ??
急に、名前で呼ばれたから、、//
なんか、変にドキドキしちゃって…
シ:カプセルの中でも、意識は無くても、、〇〇の声、聞こえとった。
〇:っ、ホントに?!
シ:おん。ありがとな!
*374*
私の中でシゲさんは、怖い人だった。
なのに今は、「ありがとな!」ってニッコリ笑ってる。
シゲさん、だいぶ変わったな。
人間に、近づいてるのかもな。
〇:ううん。私は…自分の為に、シゲさんに声をかけていたんだと思う。
シ:それでも、、、〇〇が居なかったら、俺は目覚めんかったから。
シゲさんは、優しく…
暖かく微笑んだ。
届かないと思っていた想いが…
届いたのかな…
シ:俺…側に居ってええか?
〇:っ、えっ///
シ:俺に…〇〇を守らせて欲しい。
さっき見た写真の、幼い時の眼差しのまま。
シゲさんの瞳も、透き通った琥珀の月の色で…
真っ直ぐに…
ただただ、、、真っ直ぐに…
私だけを見ていた。
*375*
〇:はい。
真っ直ぐに口にした言葉。
偽りではない事を…確信した。
シゲさんは、ニコッ!っと照れ笑いを噛みしめると…
私を優しく…
抱きしめた。
アレから、シゲさんは事あるごとに私に会いに来ては、私を笑顔にしてくれた。
式典でも、SPの様に側に張り付いていて、桐山さんにも呆れられていた。
シ:なぁ?〇〇?
〇:何?シゲさん??
会話する私たちを、不思議そうに見ていたルナが、切り出した。
「ル:そろそろ、“ シゲさん ” じゃなくて、“ 大毅 ”って呼んだら?」
「〇:エッ!でも、でもっ!」
「ル:家族……でしょ?」
「〇:っ//、、ま、まぁ…//」
男の人を名前で呼ぶって…
私の中では、ホント特別で…
だから、仲良くなってからも、それだけは躊躇していた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。