*401*
シ:〇〇!!!
大毅は、繋いでいた手を引き寄せ、私のお腹を かばうように抱き寄せた。
シ:大丈夫や、揺れは おさまった!
〇:な、何の音なの?
桐:姫様!調べてまいります!、シゲは、姫様の側に!
シ:わかったっ!、、ほら 〇〇、中へ行こう!
〇:、、う、うん…ちょっとだけ…ッ、、
「待って」が言えない…
キュキュキュッ!!!と、強い生理痛のような痛みに、
大きなお腹を抑え、顔を歪め立ち止まる。
シ:、、大丈夫やからな〜、
大毅は、私をなだめるかのように、腰を優しく ゆっくりさする。
その暖かさとリズムが、私の呼吸を導いていくかのようで…
〇:、ありがと大毅。、、治ったよ…
シ:よっし!、今のうちに移動しよか!、、〇〇、掴まれよ〜w
ッ//!!!
*402*
ッ//!!!
大毅はニヤッとして、また私を軽々持ち上げた!
落ちないようにと、大毅の首に沿った腕を引き寄せると、
大毅の顔は、ホント間近で…
見惚れちゃう…//
外で何が起こってるのか分からない、こんな緊急な状況にもかかわらず…
私は…
大毅に…
そんな私の心境なんて知らないであろう大毅は、
視線を向けると、ニカッ!っと、至近距離での一撃をくらわすから…
ッ///!!!
一気にポッ!と赤ら顔になる私。
それを、うつむいて隠した。
ウィンっと自動で開いた扉の向こうには、落ち着いた雰囲気の部屋があった。
私は、そこのソファーへと降ろされた。
その途端、たくさんの質問が…
シ:〇〇、大丈夫か?痛みはどうや?欲しいもんはないか?寒ないか?腹減ってんか?
*403*
〇:ふふっw さっきまでの余裕はどこ行ったのぉ〜w
シ:やって!、、産まれるんやで!
〇:そうだけどぉ〜w
シ:パパとしての役割があるやろ〜
〇:ぃッ!!!
シ:おっ!、、またやな!
痛みで話せなくなった私の、腰をさすり出した大毅。
シ:頑張るんやでぇ〜、、パパが待っとるからなぁ〜!
〇:っ、、ふぅ〜っ!、、、おさまったぁ〜
やがて到着した お医者さんと助産師さんと看護師さん。
お腹にモニターを付けられると、お腹の子の心音が聞こえた。
たくましい音…
「〇:、、ねぇ…ヒロ?、、聞こえる?」
繋がらないと分かっていても…
ヒロへ声をかけてしまう。
何度も何度も…
強い痛みに襲われた。
*404*
看:まだまだですからねぇ〜〜
その痛みは、時間をかけて、もっと強く、もっと長くなってるのに…
まだまだって…
どれだけ時間がたったのか分からない。
もう、優しく肩をさすり、頑張れと声をかける大毅にも、何も向けられない…
痛みで気を失う、ほんの一歩手前だ。
でもね…
頑張るよ。
この子にしてあげられる、初めての事だから。
強くいたい。
母として。
汗と涙がそっと流れていく。
もう、どんな顔をしているのかも分からないほど。
でも、痛みに叫んだりはしなかった。
強くいよう。
ヒロの分まで。
心にそう、誓っていたから。
呼吸に集中して、、、
助:次の痛みから、イキみますよ!
〇:、、は、はぃ…
*405*
助:次の痛みから、イキみますよ!
〇:、、は、はぃ…
痛みと痛みの間…
眠りかけていた私に、助産師さんが言った。
看:赤ちゃんも頑張ってますよ〜とても順調ですからね〜
その言葉に、コクンっと うなづくと、、、
キタッ!!!
襲ってきた大きな痛みに、、
私は、、
イキんだ!!!
_______
気を失うかの様に、眠りについていた私は…
薄っすら開いた瞼の向こうに、
スヤスヤと寝息を立てる、
天使を見た。
〇:、、かわいっ……♡
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。