第11話

『君月』46〜50
200
2020/02/02 02:07

*46*


近づく濵田先輩の方へ向かうと、部署と部署の間で渡された、折りたたみ傘と小さな紙袋。




濵:ありがとな!助かったわw

〇:いえ!コレは?

濵:お礼や。その店のクッキー好きやったやろ?

〇:へっ?//




なんだか小っ恥ずかしかった。


あっちと、こっちの部署からの視線。


それに、濵田先輩がこんな事するなんて…
意外だと、皆んなが思っているのだろう。




杉:〇〇さん!行くわよっ!




うわぁ〜!
杉本先輩、イラついてるぅ〜(泣)




〇:は、ハイッ!!!




資料を持ち、杉本先輩の後を追うように小走りになった。


そんな私の隣に付き「荒れそぉ〜w」と、なぜか嬉しそうなカレン。




はぁぁぁぁ〜〜〜〜っ……


プレゼン大丈夫かなぁ……?




私はクライアントを迎えに、杉本先輩と、ビルの入り口まで来た。





*47*


ク:お待たせ致しました!

杉:こちらこそ。ご足労頂きまして ありがとうございます!

ク:杉本さんに迎えて頂けるなんて、嬉しい限りです!

杉:へっ// いえ、とんでもないです!私なんかで…もっと若い子の方がよろしいですよねw

ク:いえ…僕は//…杉本さんみたいな方がタイプですので//

杉:あ、ありがとうございます//…で、では こちらへ//

ク:は、はい!//




あの〜〜?
私も居るんですけどぉ〜〜?


このクライアントさん…
プレゼン前に、落ちたんじゃないの…?


杉本先輩もデレデレしちゃって〜
さっきまでとは大違い!




やっぱ、杉本先輩も女子なんだな〜ww




誘導する杉本先輩の後ろを、行こうとすると「〇〇っ!」と、誰かに呼ばれた。


見ると、ビルの大きな柱から、ひょっこりはんしてる彼。


満面の笑みで、ヒョコヒョコ近寄って来た。





あはっw 可愛い♡






*48*


………イヤイヤイヤイヤイヤ!

杉本先輩も見てるし!!!




〇:ちょ、チョット失礼します!




私はクライアントに一礼して、彼の元へ向かった。




〇:どうして居るのよッ!!!




向かって来た彼の腕を掴み、さっきの柱の影へ。




ヒ:ちょい!なになに?

〇:こっちのセリフよ!なに?

ヒ:ほい!お弁当作ったったわw




その天使の笑顔と可愛い行動……

プレゼンの前に落ちそうなのは、私だ。




〇:あ、ありがとう…//

ヒ:おん!かまへんで!仕事、頑張りや!!!

〇:う、うん//……早く帰るね//

ヒ:ええよ?打ち上げも仕事やろ?

〇:まぁ〜そうだけどw じゃあね!

ヒ:おん!またな!




セキュリティゲートをくぐって振り返ると、笑顔で手を振ってる彼がいた。


照れ臭くて、チョットだけ手を振って、駆け足で会議室へ向かった。




今夜は早く帰ってあげよ!!!





*49*


プレゼン中、杉本先輩は終始にこやかだった。


途中、濵田先輩が混乱する様な情報を漏らしたものの、何とかイイ感じで終わらせる事が出来た。




杉:お疲れ様でした〜




クライアントを見送り、休憩所で鉢合わせた杉本先輩は、今まで見たことないくらい、ご機嫌だった。




〇:お疲れ様でした!無事終わりましたね!

杉:〇〇さんが頑張ってくれたお陰よ!

〇:いえいえ〜頑張ったのは私だけじゃありませんから。昨日はカレンも手伝ってくれたし、濵田先輩なんて、最後まで付き合ってくれたんですから!ww

杉:え…最後まで?

〇:そうなんです!カレンが帰った後に濵田先輩が来て、資料刷りと部数合わせを…24時前まで…




っ!ヤバい!!!




杉本先輩の表情が…強張ってる…

杉本先輩 やっぱり、濵田先輩のコト…




杉:濵田くん…〇〇さんには優しいのね?

〇:え、や、そうですか?濵田先輩は、誰にでも優しいかと…






*50*


そこに「お疲れ様でしたぁ〜」と、カレンがやってきた。




〇:お、お疲れ…

カ:ん??どぉかした?プレゼン大成功だったのに、浮かない顔じゃん!

杉:大成功かどうかは、クライアントの返答次第よ!




そう言い放つようにして、杉本先輩は出て行った。




カ:何かあった?

〇:うん…

カ:じゃあ、ランチ行って話そう!

〇:あ!私、お弁当!

カ:え?遅刻して、作ってきたの?

〇:違うよ!……作ってくれたの…//

カ:え?誰が?あの大家さん?

〇:……う、ウチにね…居候してる人が…

カ:居候って何っ?聞いてないよッ!!!




その時、カレンの着信音が鳴った。

藤井くんからだと分かると、あっさりランチの誘いを受けていた。




カ:今夜!絶対 聞くからねっ!!!




と、私を指差して出て行った。





あぁ…打ち上げ…気が重い…





そう思いながら、お弁当箱を開けた。

パカッ!おぉぉぉ〜〜ww



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