*386*
少しずつ目立ってきたお腹。
そのうち、ポコポコと内側を蹴るようになってきた。
〇:元気だなぁ〜
ひとり浸ってる時間は、決まって思い出す。
短かった、ヒロとの幸せな時間。
もっと好きだと伝えとけば良かった。
そんな後悔。
だから…
この子には たくさん伝えようと思った。
ありったけの愛を、、、捧げよう。
〇:ふふっw
シ:へっ?
〇:シャックリしてるw
シ:え、せやの?、、聞かせて?
と、大毅は何も構わず、私のお腹に耳を当てた。
っ// 、、ちょっと…ハズいな…
シ:ん〜??、、わからんなぁ〜
照れてる私に気付きもせず、大毅は真面目にお腹の音に集中しようとする。
その時!
ボコッ!!!
*387*
ボコッ!!!
シ:うわぁ!なになに?、、蹴られた??
〇:あはっw、辞めてって言ってるんじゃない?
シ:なんや〜もぉ〜、、パパですよぉ〜〜ww
〇:ッ///!!!、、えっ!!!
シ:せやろ?俺がパパ替りやろ〜が??
「なぁ〜?ww」と、ニコニコの大毅は、お腹の子に語りかけていた。
嬉しいんだけど…
本音は複雑で。
私は希望を捨ててはいなかった。
いつかは、またヒロに会える。
この子と一緒に暮らせると…
大毅には悪いけど…
この子のパパは、、、ヒロだから。
シ:〇〇に、、、謝らなアカン事があんねん。
お腹から離れると、大毅は、らしくないほどに真面目な、チョット沈んだ、弱い顔を見せた。
シ:神ちゃんが、ああなったの、、、俺のせいやねん。
〇:っ、、、え…
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〇:…ああなったの……って…?
シ:『アカツキ』の、、瞳…
〇:っ、、あ、あの時の…
あの時、私の元へと戻ってきたヒロは…
狂っていた。
なのに私は…引き寄せられた。
操られるように。
心も、
身体も。
〇:な、、なんで?
シ:、、お前には〇〇を守れへんって…言うてもうて…
〇:…どうして…そんな事を…?
シ:やってアイツ、弱音ばっか吐くねん!、、「〇〇はホントに幸せなんやろか」とか「俺はシゲみたいに強くない」とか…
辛く、悔しそうな顔…
シ:、、、家族になるコトの意味が、、分かっとらんねん…
〇:大毅…
シ:でも、、こんなコトになるとは…、、、ほんまゴメン、〇〇…
大毅は優しい。
私には分かる。
*389*
〇:守りたかった。
〇:家族を。、、そうでしょ?
シ:、、〇〇…
〇:責めなくていい。大毅は ただ家族を守りたかった。、、それのどこがイケナイって言うの?
カスれた声…
今にも泣きそうな、大毅を…
ギュッ…
と、、、強く、、、強く、、、抱きしめ…
私は泣いた。
ヒロ…
逢いたい…
______
桐:だいぶ 大きくなられましたので…
〇:ねぇ?、、私って…人間なの?
桐:えっ?
〇:この子って…
桐:…恐らく、ハーフです。
〇:桐山さんは、いくつなんですか?
桐:私は、ちょうど150歳です!
〇:、、お、お若い…ですね……
*390*
桐:時空が違うんです。地球とは。、、なので、5倍長生きすると言われてます。
〇:5倍も…
桐:、、、姫様…
この子が産まれても…
幼い頃に、私は死んでしまう。
桐:大丈夫です!俺らが、全力でお守りします!!!
地球なら、、、良かったのに…
______
シ:不安か?
〇:…まぁ。
シ:神ちゃんに、、会いたいんか?
〇:そうね…できれば、この子の側にいて欲しい。
シ:…そっか。、、忘れられへんか…
〇:だって…この子の、
この子を、ヒロの分まで愛するには…
私には時間が足りない。
シ:っ、俺がおるやんっ!!!
〇:っ、、そうだけど……でも…
シ:絶対 幸せにしたる!、この子も、、、〇〇も、、
〇:…大毅、、、
〇:うん。、、、そうだね!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!