第58話

『君月』281〜285
144
2020/02/11 11:52

*281*





っ///!!!





キ、キス……って…






急に…







どうして…?







急な展開に、彼の意図も心も読めず、


私の頭と身体は、固まっていた。








ふわんっ……









次に感じたのは…柔らかな感触…









〇:…………えっ…?









身体にチカラが入っていた私は、
その ただ柔らかいだけのキスに、拍子抜けした。









ヒ:……ビックリ…した…?








〇:……何も…………起こらない…







初めて会った時の、あのキスの衝撃は、少しも無かった。





ど、どういう……事なの…?





またワケが分からず、私は固まった。







ヒ:俺が…めっちゃ 人間に近づいとるから、ホンマにチカラを集中させんと、あの時みたいにはならへんのや。






〇:そ、そうなんだ…






*282*



〇:そ、そうなんだ…





なぜか、泣けてきた…




一瞬、彼が人間になってしまったのかと思った。





ヒ:ゴメン!そんなビックリさせるつもりはっ!





私の涙を慌てて拭い、ギュッと抱きしめると…





「ごめんな…」と、彼は また謝った。






ヒ:何があっても…俺が〇〇を守る。……せやからもう、泣かんといて?





涙はスグには止まらなかったけど…




私は「うん」と答えた。







こうして…
彼の腕の中で、彼の温もりを一身に受け、彼の純粋さに安心すると…




自分の命を疎かにした事を後悔した。





彼からは…
「愛おしい」という想いが溢れていて…







もう一度…







感じたい。







彼の…………唇を…






「〇:も、いっかい……して?」







*283*





「〇:も、いっかい……して?」





ヒ:ッ///!!…ッぅへぇぇッ?!!//





「〇:き、キス…だけ//………だめ…かな//?」







恥ずかしくて、彼の顔も見れず…



でもどうしても…今、して欲しくて!








「ヒ:しゃーないなぁ!」



「〇:へ?…ホント?」






彼の胸に引っ付いてる私を離すと、彼の右手が 軽くアゴを すくい上げた。





ドキンッ♡………ドキンッ♡……





と、胸打つ音が、今にも聞こえそうな…




近づく この瞬間が…








たまらなく好き///







チュッ♡






触れるだけなのに…


さっきとは、まるで違う…





吸い付く様なリップ音が、静かな部屋に響いた。






「〇:あ、ありがとう///」





照れてうつむく私に…





ヒ:ちゃんと、目を見て言って?





小悪魔な彼の発言!







*284*


なんか…
ほんのチョット会わない間に、、、



オトナになった??






仕方なく視線を上げると…








もう一度…








きた!






んっ…//

…っはぁ…///







オトナな……やつだ…//







「〇:…ね……ぇ//………やめ…よぉ……」






彼のキスが、そっとフェードアウトすると…





彼の顔なんて見られなくて…





私は彼の肩へ顔を乗せる様に、彼を抱きしめた。





はぁぁぁぁ〜〜っ///……♡






「ヒ:…キスって……スゴイな//?」


「〇:…うん//……だね///」






求めているのは口だけなのに…



全身が反応して、持っていかれる感覚。







ヒ:もう一回って言いたいけど…さっきヤバかったからw

〇:…そうなの……?

ヒ:おん。…意識して無いと、チカラ抑える事ができひん。






*285*





ヒ:…〇〇に…俺の全部が吸い込まれそうやった…






彼の抱きしめる腕が、ギュッ!っと強くなる。





ヒ:〇〇は…キス上手いんかなぁ?

〇:っ!そ、そんな事ないよっ!…そっちこそ!

ヒ:俺は、テレビで観察したからな!

〇:えっ!キスの勉強したの??

ヒ:おん!シゲに勧められてんもん…






ヒ:「そんなんやと、〇〇を濵ちゃんに取られてまうでぇ〜」って言われてん!






こ、こういうトコだよ…


か、可愛い……かよ…♡





ヒ:ヒロ。

〇:…へっ??

ヒ:ヒロって呼んでや?











______



濵:そろそろさぁ//…「先輩」やなくて、名前で呼んでくれても…ええで//?





それは…
「おやすみなさい」と私が言った時だった。


先輩の腕枕で安心してた私には、その安心感が吹っ飛ぶ程の衝撃だった!





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