第37話

『君月』176〜180
198
2020/02/02 02:27

*176*



ヒ:仕事…大変なんやない?

〇:…うん…まぁ…ワザと忙しくしてるしね…





手を洗う私の顔を、鏡ごしに見ながら心配そうに…





ヒ:もうさ?辞めちゃえば?





辞めたところで、現状は何も変わらない。

そんな風に、考えてしまう。





〇:そんな…気を使わないで…





っ!!!



止められてない水の音が、抱きしめられた その鼓動と連動してるかの様だった。





〇:その提案に答えたら…言う事聞いてくれるの?






ヒ:えっ……キスするってこと?







〇:だって、この流れだったら、普通はキスして、抱きしめ合って……







〇:……求め合うでしょ??






ヒ:…そう…なんか……??






分かって無いのが…悔しい…






〇:藤井くんに、教えてもらってよッ!!!






教えてもらって、出来ることでは無いのに…



何言ってるんだろう?


私。







*177*





ヒ:…〇〇が、教えてよ……?

〇:っ!//……な、何を言ってるのっ?///

ヒ:キスは出来ひんけど……






鏡越しの彼が、鏡の中の私の首に…





っ//……んぅっ///…





彼はまるで、柔らかな唇にキスをするかの様に…

優しく…






……ふはぁんっ///…っ//…






そうやって首筋をなぞられるだけで、漏れてしまう声は…



私の溜まった欲望を、解放していくみたいで…







このまま…

攻められたら……






交わせない。

止められない。






辞められなくなっちゃうよ…







「〇:辞めて…//」

「ヒ:イヤや……」






〇:キャッ!な、何すんのっ?!!!

ヒ:ベット。






私を軽く抱き上げると、寝室へと入り、そっと……ベットへ寝かせた。






*178*




ココで拒むことだって出来るはずだった…




けど…




彼の琥珀の瞳が…





真っ直ぐすぎる眼差しが…





私の理性を打ち消していくかの様に…






動きを…






封じていく…








「〇:私は……何のために…宿されたの?」




「ヒ:月とルトゥを救うためやろ?」





「〇:…あなたを救うことは?……私には…できないの??」






人間は…





愛を持って…





その身体を求め合う…










なのに…






あなたを求める事は……







あなたの命さえも…







脅かす…







「〇:シ……にたい……もう…」








私が居なくなれば…








ルトゥも、その運命を受け入れるであろう。







*179*





「ヒ:…〇〇がシぬなら……俺も…」






〇:えっ……どうして…そうなるの……?

ヒ:俺らはルトゥナや。……同じ運命を…辿る。

〇:っ!!!







ルトゥナ…





愕然とした。






どうやっても…





彼を守る事は…出来ない……










〇:だったら……キスしてよ…ッ………




















ヒ:・・・ごめん…







覆いかぶさっていた彼の顔は…



悲しそうに微笑んで、隣へ並んだ。







ヒ:なぁ 〇〇?

〇:・・・ん?

ヒ:今度、デートしよか?

〇:えっ…でーとぉ?

ヒ:おん!恋人同士やなくても、デートは ええんやろ?






あ〜……でた…






可愛い……かよ……………………ふふっw







いつもこうだ!


こうやって、私のペースを乱す。




でも…







*180*




でも…





それが、たったの、ほんの一瞬だとしても…






イヤな事全部を、忘れられる。






ヒ:明日は?仕事、休みやろ?

〇:えっ!アシタぁ??

ヒ:ええやん!なっ?ええやろぉ〜〜!!!






そんな瞬間を知ってるからかな…?











私が彼を……好きな理由は。









ヒ:なっ?おねがいっ?なぁ〜〜??

〇:……もう分かったぁ〜〜!ww

ヒ:やったぁーーーッ!!!

〇:っ!!!ちょっ、チョットっ!!!






彼は私を抱きしめると、「良かったぁ〜♡」と言い残し、そのまま すぅ〜〜っと、眠りについた。






不思議なくらい穏やかに。






てか…





































私、また抱き枕やんっ!!!




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