*136*
濵:〇〇?俺たち、どれだけキスしてきたか…分かるか?
〇:えっ…どれだけって…そんなに?
濵:…いつも初めて会うのに…その度に〇〇は、俺に好意を持ってくれた。
両想いなのは分かってるのに…キスまでしたら終わりの繰り返しや。
〇〇の身体は…反応しとるのに…俺は……
〇:っ!// チョッ!そんなコトっ!!!
濵:さっきだって、そうやったやろ?
〇:さ、さっきは//…そのっ…//
反論はできないけど!
だからって、皆んなの前で!
〇:それにっ!好きだったなんて信じられない!だって、記憶消せばイイんでしょっ?!だったら……
〇:遊びだったんじゃないの?
濵:っ!ホンマそれだけはちゃうッ!!!
あーーーッ!もうッ!!!
分かんないっ!!!
「ヒ:〇〇っ!聞こえるかっ?」
っ!はっ!!!
*137*
「ヒ:〇〇っ!聞こえるかっ?」
っ!はっ!!!
〇:う…ぅん//…っ…
「ヒ:会いたいよ…〇〇…」
〇:ぅぅっ…っ……私も//…だよ//…っ…
「ヒ:〇〇…」
身体の中に、彼の暖かさが流れ込む感覚で…
涙が、、、溢れた。
〇:でも…でも今は、会えない。
「ヒ:えっ、どないして?」
〇:…気持ちの整理がつかないから。
「ヒ:そいつが、好きって事?」
〇:…分からない。ゴメン……
私に…
月へ帰らないなんて、選択肢があるの?
そんな選択肢……無いでしょ…?
濵:〇〇?全部 話すから…聞いてくれへん?頼む!
〇:カレンも一緒なら…いいですよ。
先輩は、私が思い出していない事や、その背景を話してくれた。
恐らく…
知られたくない事ばかりを。
*138*
初めての彼氏を突き落としたのは、やっぱり先輩。
私に男が出来た。
それだけで許せなかった。
自分でも歯止めが効かなかった。
それに、まだ私の迎えが来る前の事で…
まだ、大人と認められない姫に、指一本でも触れさせるワケにはいかなかった。
ふたり目の彼氏。
試合中、怪我をする様に仕向けたのも先輩。
それ以降の、彼氏が謹慎処分にされるまでの行為も、全て先輩が仕向けた。
その後、月からの迎えが来られなくなって、任務から解放されたのかと思った時に、ふたりでスノボに来たが、任務は続行されると分かり、私の記憶から消した。
3人目の彼氏。
コイツは〇〇を騙してた。
二股どころか、四股までしていた。
濵:せやから、世間から立ち直れん様に仕向けたんや!
カ:…先輩……ドヤ顔するところじゃないですよ?
濵:…せやな。
*139*
濵:…最近やったら…プレゼンの前日に残ってた時に…キスを…な?//
〇:はっ?そんな最近に?
濵:ゴメン!衝動的に…
〇:衝動的って!襲ったって事ですかっ?
濵:や、や、ちゃうよぉ!っんもぉッ!!!
先輩は、頭の後ろを掻きむしりながら、ムシャクシャする感情に苛立っていた。
濵:〇〇、その気やったやん!
〇:知りませんよっ!
濵:ほな、どうしてさっきは拒まへんかったん?
〇:は?…それは…
色々な事情と、人間としての欲求と、これから先への不安と、藤井くんのアドバイスと…
たくさんの何かが、
たくさんの想いを知らせて来て…
私…先輩の事…好きなのかな…?
って考えるようになってて…
上手く言えないけど…
〇:私……セツナさに……負けたんだと思う……
黙り込んだ 四人の心に、同じように流れた感情があった。
*140*
藤:そろそろ…かな?
濵:はいよ…
藤:カレン?チョット立って?
そう言うと、カレンの両手を引き上げ、立たせた。
カ:えっ?どっか行くの?
藤:カレン…俺の目を見て?
カ:なにぃ//…どうしたのぉ?//
藤井くんは、両手を繋いだまま、カレンの瞳を除き込み、ニコッ♡っと笑顔を見せた。
っ!!!なに?!!!
カレンが笑顔に緩んだ隙だった。
先輩がカレンの背中に掌を当て、ほんの1cmくらいを、クッ!っと押すと…
カレンは、スッと目を閉じ、膝から崩れ落ちた。
「っ!おっと!」と、藤井くんがカレンを抱き止めた。
〇:っ!な、何をしたの?カレンに何したのよッ!!!
取り乱すのも無理はないでしょ?
だって、ほんの1cmの一撃で、意識を失ってるんだから。
濵:消した。
〇:…………え…?
藤:大丈夫。気絶してるだけやから!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。