*111*
カ:ヒロくんは、〇〇の事 好きだよぉ?!
〇:はぁ??そんなハズ…
カ:流星の家で、たまに会うんだよ。〇〇の事ばっかり聞いてくるの。で、〇〇の話しすると、スッゴク嬉しそうにニコニコしながら聞いてるんだよ?まるで天使かと思っちゃう笑顔で!それでも、好きじゃないと思う?
思い出して胸がキュンッ!とした。
天使だったな…あの笑顔…
楽しかったな…毎朝……
会いたいな…
〇:カレン?信じられない事…教えるね?
カ:え?なにぃ?
〇:私ね……月に帰らなきゃいけないの。
カ:・・・ぷっww マジな顔して何いってるのよぉ〜ほんとウケるぅ〜ww
〇:彼は…私を迎えに来た……運命の人なの。
カ:もぉ〜やめてよぉ〜ww
〇:私が帰らなきゃ、月が危ないの!だから、こうしていられるのも、あと半年も無くて……
カ:えっ?ホントなに言ってんの?
*112*
〇:だから、もう少しでカレンとお別れしなきゃなの!
カ:待って待って?どういう事?
〇:私ね?恋とかしたかった。あんな男性不信になる様なのじゃなくて……もっと、爽やかで、甘酸っぱくて、胸がキュンキュンして……っ…
カ:ホント……なの…?
〇:うん。ホント。
カ:で、でも…ヒロくん居るじゃん!両想いの!
〇:ううん。彼は…そんな感情を持たないの。人間じゃないから…恋愛は……しない。
カ:エッ!じゃあ、〇〇はどうして…?
〇:よく分からないんだけどね…長年、地球に住んでると、人間になるんだって。ふふっw 信じられないでしょ?不思議 過ぎて…理解不能ww
私は少しでも軽い話しにしたくて、笑い混じりで言った。
〇:カレン?ずっと、親友でいてくれて ありがとう…私には、カレンしかいないから……カレンとの別れが、一番辛いよ……っ…
涙を流して告げる私を、優しく優しく、撫でてくれた。
*113*
カレンは、涙をギリギリ堪えながら、うつむいたり天井を見たりして、鼻をすすった。
カ:ん〜〜ヤダ!!!そんなの信じない!!!私からしたら、月なんかより〇〇の方が大事!月の人が、〇〇を連れ去ろうとするなら、全力で阻止する!!!
カレン…
カ:だって、そうでしょッ?!〇〇は家族くらい大切な親友以上だよ?居なくなる?そんなの許さないから!残される人の気持ちは?どうでもイイの?
〇:カレン……私が居なくなったら…カレンの中から、私の記憶は消える。忘れちゃうから、悲しみも無いんだよ……
カ:エッ!何それ?逆に悲しいよぉ〜っ!!!絶対ダメッ!絶対無理ッ!絶対阻止ーーーーーッ!!!
そう言ってカレンは私に抱きついた。
カ:大丈夫…大丈夫だよ…?
カ:私………忘れないから…
そう言うと、抱きしめる力が強くなって、私の浴衣に涙を落とした。
*114*
濵:チョイ!カレンッ!!!
温泉から出てきた濵田先輩が、藤井くんを抱えながら来た。
カ:えっ!どぉしたのぉッ?!!!
藤:湯渡りぃ〜ww
カ:もぉ〜熱いの苦手なんだからぁ〜
藤:悪りぃ…チョット横にならせて…
すでに敷いてあった布団に、大の字になった藤井くん。
カ:お布団 掛けないと、今度は湯冷めしちゃうよぉ〜!
と、布団を掛けてあげるカレンが、愛らしい。
私も誰かと、こんなカップルになりたかったな…
藤:カレン、側におってな?……
甘えたさんの藤井くんは、スゥ〜っと簡単に眠りについた。
濵:ほな〜俺らはあっちの部屋に行こか?
〇:あ、はい!そうですね!
濵:カレン 頼むな?
カ:はいはい。ごゆっくりと〜
カレンは藤井くんの手を握りながら、反対の手をヒラヒラさせた。
*115*
隣の部屋へ入ると濵田先輩は「飲むか?」と、買い出ししていた缶のアルコール類を冷蔵庫から取り出した。
「ハイっ」と手渡された時に微かに触れた指先が、ふたりきりだということを意識させた。
私…
この人に恋してたんだよな…
まぁ、恋したところで、上手くはいかないのか。
ルトゥだもんな…
そう思うと、ふたりきりの空間も、なんて事なかった。
例えて言うと…
恋愛対象じゃない、オネエの方とかと、一緒にいるみたいな?
そんな気持ちかな?
濵:カンパイ!
〇:え?あ、はい!カンパイ!
濵:……また考え事か?
グビッグビッ!っと一気に飲み干してしまいそうな勢いで飲む私に、そう聞いてきた。
〇:んっ!プハァーッ!!!
濵:オッサンかよ?
〇:むぅ!オッサンに言われたくないです!
濵:そんなんだから、彼氏もできひんのやろ?
〇:彼氏なんて要りません!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。