第24話

『君月』111〜115
194
2020/02/02 02:09

*111*


カ:ヒロくんは、〇〇の事 好きだよぉ?!

〇:はぁ??そんなハズ…

カ:流星の家で、たまに会うんだよ。〇〇の事ばっかり聞いてくるの。で、〇〇の話しすると、スッゴク嬉しそうにニコニコしながら聞いてるんだよ?まるで天使かと思っちゃう笑顔で!それでも、好きじゃないと思う?





思い出して胸がキュンッ!とした。




天使だったな…あの笑顔…




楽しかったな…毎朝……









会いたいな…







〇:カレン?信じられない事…教えるね?
カ:え?なにぃ?

〇:私ね……月に帰らなきゃいけないの。

カ:・・・ぷっww マジな顔して何いってるのよぉ〜ほんとウケるぅ〜ww

〇:彼は…私を迎えに来た……運命の人なの。

カ:もぉ〜やめてよぉ〜ww

〇:私が帰らなきゃ、月が危ないの!だから、こうしていられるのも、あと半年も無くて……

カ:えっ?ホントなに言ってんの?






*112*


〇:だから、もう少しでカレンとお別れしなきゃなの!

カ:待って待って?どういう事?

〇:私ね?恋とかしたかった。あんな男性不信になる様なのじゃなくて……もっと、爽やかで、甘酸っぱくて、胸がキュンキュンして……っ…

カ:ホント……なの…?

〇:うん。ホント。

カ:で、でも…ヒロくん居るじゃん!両想いの!

〇:ううん。彼は…そんな感情を持たないの。人間じゃないから…恋愛は……しない。

カ:エッ!じゃあ、〇〇はどうして…?

〇:よく分からないんだけどね…長年、地球に住んでると、人間になるんだって。ふふっw 信じられないでしょ?不思議 過ぎて…理解不能ww





私は少しでも軽い話しにしたくて、笑い混じりで言った。





〇:カレン?ずっと、親友でいてくれて ありがとう…私には、カレンしかいないから……カレンとの別れが、一番辛いよ……っ…





涙を流して告げる私を、優しく優しく、撫でてくれた。






*113*


カレンは、涙をギリギリ堪えながら、うつむいたり天井を見たりして、鼻をすすった。





カ:ん〜〜ヤダ!!!そんなの信じない!!!私からしたら、月なんかより〇〇の方が大事!月の人が、〇〇を連れ去ろうとするなら、全力で阻止する!!!





カレン…





カ:だって、そうでしょッ?!〇〇は家族くらい大切な親友以上だよ?居なくなる?そんなの許さないから!残される人の気持ちは?どうでもイイの?

〇:カレン……私が居なくなったら…カレンの中から、私の記憶は消える。忘れちゃうから、悲しみも無いんだよ……

カ:エッ!何それ?逆に悲しいよぉ〜っ!!!絶対ダメッ!絶対無理ッ!絶対阻止ーーーーーッ!!!





そう言ってカレンは私に抱きついた。





カ:大丈夫…大丈夫だよ…?











カ:私………忘れないから…





そう言うと、抱きしめる力が強くなって、私の浴衣に涙を落とした。





*114*




濵:チョイ!カレンッ!!!




温泉から出てきた濵田先輩が、藤井くんを抱えながら来た。




カ:えっ!どぉしたのぉッ?!!!

藤:湯渡りぃ〜ww

カ:もぉ〜熱いの苦手なんだからぁ〜

藤:悪りぃ…チョット横にならせて…





すでに敷いてあった布団に、大の字になった藤井くん。





カ:お布団 掛けないと、今度は湯冷めしちゃうよぉ〜!





と、布団を掛けてあげるカレンが、愛らしい。



私も誰かと、こんなカップルになりたかったな…





藤:カレン、側におってな?……





甘えたさんの藤井くんは、スゥ〜っと簡単に眠りについた。





濵:ほな〜俺らはあっちの部屋に行こか?

〇:あ、はい!そうですね!

濵:カレン 頼むな?

カ:はいはい。ごゆっくりと〜





カレンは藤井くんの手を握りながら、反対の手をヒラヒラさせた。






*115*


隣の部屋へ入ると濵田先輩は「飲むか?」と、買い出ししていた缶のアルコール類を冷蔵庫から取り出した。


「ハイっ」と手渡された時に微かに触れた指先が、ふたりきりだということを意識させた。





私…

この人に恋してたんだよな…





まぁ、恋したところで、上手くはいかないのか。

ルトゥだもんな…





そう思うと、ふたりきりの空間も、なんて事なかった。


例えて言うと…
恋愛対象じゃない、オネエの方とかと、一緒にいるみたいな?

そんな気持ちかな?





濵:カンパイ!

〇:え?あ、はい!カンパイ!

濵:……また考え事か?





グビッグビッ!っと一気に飲み干してしまいそうな勢いで飲む私に、そう聞いてきた。


〇:んっ!プハァーッ!!!

濵:オッサンかよ?

〇:むぅ!オッサンに言われたくないです!

濵:そんなんだから、彼氏もできひんのやろ?

〇:彼氏なんて要りません!





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