*41*
彼:ふたりきりで…何してたんだよ?
〇:えっ?
今まで見たことのない表情…
彼:嬉しそうにしやがってっ!!!
ガゴンッ!!!ガラガッシャンッ!!!
彼が振り下ろした松葉杖が、パイプ椅子をなぎ倒した。
彼:何とか言ったらどうなんだよっ!!!
見たこともない彼氏の姿に、声を発することが出来ない…
私…何もしてないのに…
カ:チョット!なに事?!!!
大きな音を聞きつけて、カレンが慌てて入ってきた。
彼:カレンには関係ねぇッ!出てけッ!!!
カ:この状態で、出て行けるワケないでしょっ?!
彼:うっせーーーッ!!!
ガシャンッ!!!パリンッ!!!
彼が振り上げた松葉杖の先が、後ろのガラスに直撃した。
カ:いったぁっ!
飛び散ったガラスはカレンの腕を傷つけ…
ポタポタと血が流れ落ちた。
〇:っ!カレンッ!!!
*42*
〇:っ!カレンッ!!!
私はカレンに駆け寄り、自分のハンカチで血が溢れ出す傷口を押さえた。
〇:保健室 行こ!歩ける?
カ:う、うん…大丈夫…
私はカレンを少し抱え、保健室へ向かおうとした時、
彼:許さないからな。
私の気持ちを、怖さが覆い、言葉が出なかった。
その後、彼氏は謹慎処分となり、学校へ来なくなった。
私は、手当てをした男の子と噂になり、サッカー部には居られなくなった。
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それに比べたら…
このヤキモチは…ホント可愛いなw
しばらく彼の頭を撫でてると、こっちに寝返りを打って、私の胸の前で小さくうずくまった。
かと思ったら、私の左手をまた、頭に乗せた。
ん?撫でて欲しいのかな?ww
なんとなく流れでナデナデしてみた。
ヒ:あんさぁ?〇〇にはオトンとオカンが居ったやろ?
〇:うん。
ヒ:どんなやった?
*43*
ヒ:オトンって、やっぱり厳しいん?オカンって、やっぱり………優しいん?
もしかして…
親を知らないの??
彼も…ひとりぼっちなのかなぁ…
〇:優しいよ。お父さんも、お母さんも…すっごく優しかった…
ヒ:そっか…幸せやったんやな…〇〇は…
どういう意味なんだろう…
ヒ:オカンって…こんな感じなんかもな…
彼が頭を撫でてもらいたかったのは、母親を感じたかったから?
そんな事を考えながら…
ボーっと、彼の柔らかくて気持ちいい髪に触れていた。
ヒ:〇〇?
〇:ん?
ヒ:時間。
〇:………あ"ッ!!!
私は跳ね上がり、最高に早いスピードで支度を終えた。
チンッ!
ヒ:はい これ!食べてき!
今日もまた食パン…
〇:あっ!今夜は遅くなるから!
ヒ:えぇぇ〜なんでやのぉ?
〇:大きなプレゼンの後は、必ず皆んなで飲みに行くの。だから、夕飯も要らないから!
*44*
ヒ:そんなん ややわぁ〜!
駄々っ子再来…可愛い…かよ…
〇:分かった分かった!なるべく早く帰ってくるから!
ヒ:約束やからな?
彼は小指を私の目の前に突き出した。
〇:ふふっw はいはい。
私はパンプスのヒールにカカトを滑らせると、その小指に自分のを絡ませた。
ヒ:ゆ〜びき〜りげんまん ウソついたら〜〜〜〜〜…………?どないしよ?
〇:は?針千本じゃないの?
ヒ:針千本も無いやろ!えっとね…
考え込んで、小指を離してくれない。
〇:もぉ!遅刻しちゃうッ!!!
ヒ:ほな分かった!ウソついたら、キ〜〜スするっ!指切ったっ!
〇:エッ?//
ヒ:大人なヤツな?ww
耳元でそう囁くと、ニヤッと笑った。
うっ!!!
捕獲されそう…
〇:もぉ!// 時間 ホントにヤバいから!行ってきます!
こんなにダッシュできるんだって程、走った。
のに…
*45*
杉:〇〇さん!こんな大事な日に遅刻なんて!気が緩んでる証拠でしょっ!!!
〇:はい…すみませんでした…
杉:早く準備して!!!
結局、電車遅延で間に合わなかった。
あんなにダッシュしたのにぃ〜
カ:ついてないね?基本幸薄w
〇:あのね〜!その幸ってのは、男関係でしょ?最近はそうでも無いから〜
カ:エッ!彼氏出来たの?
〇:いや……違うけど…
カ:じゃあ…告られた?
〇:う〜ん??どうなんだろう??
カ:ハッキリしないなぁ!でも、イイ感じの人は居るって事ねww
〇:う〜ん??
カ:なによぉ〜〜?居るの?居ないの?どっち?
〇:居るっちゃぁ〜居るんだけどね…
カ:誰?会社の人?通勤で出逢ったとか?あっ!もしかして、私にナイショで、合コン行ったとかぁ??ひどぉ〜い!!!
〇:行ってないから。
その時、隣の部署から「〇〇〜」と呼ぶ声。
カ:えっ?濵田先輩なの?
〇:ち〜が〜う!
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。