第10話

『君月』41〜45
211
2020/02/02 02:07

*41*


彼:ふたりきりで…何してたんだよ?

〇:えっ?




今まで見たことのない表情…




彼:嬉しそうにしやがってっ!!!




ガゴンッ!!!ガラガッシャンッ!!!



彼が振り下ろした松葉杖が、パイプ椅子をなぎ倒した。




彼:何とか言ったらどうなんだよっ!!!




見たこともない彼氏の姿に、声を発することが出来ない…



私…何もしてないのに…




カ:チョット!なに事?!!!




大きな音を聞きつけて、カレンが慌てて入ってきた。




彼:カレンには関係ねぇッ!出てけッ!!!

カ:この状態で、出て行けるワケないでしょっ?!

彼:うっせーーーッ!!!




ガシャンッ!!!パリンッ!!!




彼が振り上げた松葉杖の先が、後ろのガラスに直撃した。




カ:いったぁっ!




飛び散ったガラスはカレンの腕を傷つけ…


ポタポタと血が流れ落ちた。




〇:っ!カレンッ!!!






*42*


〇:っ!カレンッ!!!




私はカレンに駆け寄り、自分のハンカチで血が溢れ出す傷口を押さえた。




〇:保健室 行こ!歩ける?

カ:う、うん…大丈夫…




私はカレンを少し抱え、保健室へ向かおうとした時、




彼:許さないからな。




私の気持ちを、怖さが覆い、言葉が出なかった。



その後、彼氏は謹慎処分となり、学校へ来なくなった。


私は、手当てをした男の子と噂になり、サッカー部には居られなくなった。



____________









それに比べたら…


このヤキモチは…ホント可愛いなw




しばらく彼の頭を撫でてると、こっちに寝返りを打って、私の胸の前で小さくうずくまった。



かと思ったら、私の左手をまた、頭に乗せた。



ん?撫でて欲しいのかな?ww



なんとなく流れでナデナデしてみた。




ヒ:あんさぁ?〇〇にはオトンとオカンが居ったやろ?

〇:うん。

ヒ:どんなやった?





*43*


ヒ:オトンって、やっぱり厳しいん?オカンって、やっぱり………優しいん?




もしかして…
親を知らないの??


彼も…ひとりぼっちなのかなぁ…




〇:優しいよ。お父さんも、お母さんも…すっごく優しかった…

ヒ:そっか…幸せやったんやな…〇〇は…




どういう意味なんだろう…




ヒ:オカンって…こんな感じなんかもな…




彼が頭を撫でてもらいたかったのは、母親を感じたかったから?



そんな事を考えながら…

ボーっと、彼の柔らかくて気持ちいい髪に触れていた。




ヒ:〇〇?

〇:ん?

ヒ:時間。

〇:………あ"ッ!!!




私は跳ね上がり、最高に早いスピードで支度を終えた。



チンッ!



ヒ:はい これ!食べてき!



今日もまた食パン…



〇:あっ!今夜は遅くなるから!

ヒ:えぇぇ〜なんでやのぉ?

〇:大きなプレゼンの後は、必ず皆んなで飲みに行くの。だから、夕飯も要らないから!





*44*



ヒ:そんなん ややわぁ〜!




駄々っ子再来…可愛い…かよ…




〇:分かった分かった!なるべく早く帰ってくるから!

ヒ:約束やからな?




彼は小指を私の目の前に突き出した。




〇:ふふっw はいはい。




私はパンプスのヒールにカカトを滑らせると、その小指に自分のを絡ませた。




ヒ:ゆ〜びき〜りげんまん ウソついたら〜〜〜〜〜…………?どないしよ?

〇:は?針千本じゃないの?

ヒ:針千本も無いやろ!えっとね…




考え込んで、小指を離してくれない。




〇:もぉ!遅刻しちゃうッ!!!

ヒ:ほな分かった!ウソついたら、キ〜〜スするっ!指切ったっ!

〇:エッ?//

ヒ:大人なヤツな?ww




耳元でそう囁くと、ニヤッと笑った。



うっ!!!

捕獲されそう…




〇:もぉ!// 時間 ホントにヤバいから!行ってきます!




こんなにダッシュできるんだって程、走った。


のに…






*45*


杉:〇〇さん!こんな大事な日に遅刻なんて!気が緩んでる証拠でしょっ!!!

〇:はい…すみませんでした…

杉:早く準備して!!!




結局、電車遅延で間に合わなかった。

あんなにダッシュしたのにぃ〜




カ:ついてないね?基本幸薄w

〇:あのね〜!その幸ってのは、男関係でしょ?最近はそうでも無いから〜

カ:エッ!彼氏出来たの?

〇:いや……違うけど…

カ:じゃあ…告られた?

〇:う〜ん??どうなんだろう??

カ:ハッキリしないなぁ!でも、イイ感じの人は居るって事ねww

〇:う〜ん??

カ:なによぉ〜〜?居るの?居ないの?どっち?

〇:居るっちゃぁ〜居るんだけどね…

カ:誰?会社の人?通勤で出逢ったとか?あっ!もしかして、私にナイショで、合コン行ったとかぁ??ひどぉ〜い!!!

〇:行ってないから。




その時、隣の部署から「〇〇〜」と呼ぶ声。




カ:えっ?濵田先輩なの?

〇:ち〜が〜う!



プリ小説オーディオドラマ