第64話

『君月』311〜315
132
2020/02/19 13:10

*311*




ヒ:まさか〇〇っ!!!




握られていた腕の力が、強くなる。


顔をしかめ、それを堪えた。





っ!!!、、、いッ、、痛い、、、





痛さで、気を失いそうなほどの私は…



「私じゃない」のたった一言が、、出ない。






濵:おいっ!辞めろっ!!!

ヒ:ウッサイッ!!!





ヒロの掌が また、濵田先輩へと向けられると、何もできなかった。
























_____





っ!!!、、いったぁ〜〜!





気がつくと、そこは自分のベッド。

起き上がった瞬間、左の二の腕に痛みが走った。





あの後 私は…
ヒロに掴まれ飛んだ瞬間に、気を失っていたらしい。



玄関のドアが開く音が聞こえると…


買い物袋を持ったヒロが、部屋へ入ってきた。





ヒ:っぅわぁ!!!ビックリしたぁ〜〜!






*312*





ヒ:っぅわぁ!!!ビックリしたぁ〜〜!





ベッドで起き上がっていた私が、想定外だったのか、可愛くビクッとしていた。





ヒ:起きてるなら言うてやぁ〜w





何も無かったかの様に、普段のヒロだった。





〇:どこへ?

ヒ:あ〜、、湿布をな、、買いに。





と、買い物袋から その箱を取り出した。



ヒロはベッドの横に正座すると、





ヒ:〇〇!ほんっまにゴメンなさいっ!!!





と、深々と頭を下げた。





ヒ:傷つけてしもうて、、心も身体も。





ヒロの気持ちは、知ってる。

心はスグ側にあるから。





〇:ジェラシーでしょ?、、だったらイイよ!、許してあげるw

ヒ:ホンマ??

〇:うん、ホンマww





ヒロは天使の笑顔を見せた。



ただそれだけで…

心がホッとし、暖まるのが分かった。





〇:っ!ぃっ!!!





*313*




〇:っ!ぃっ!!!





ヒロに触れたくて伸ばした腕に、激痛が走った。





ヒ:っ!〇〇、大丈夫ッ?!!!





ヒロは押さえた私の手を そっと外すと、ユックリと袖をまくり上げた。





ヒ:…酷いな、、ゴメン、、





ヒロが握りしめた手の形に残ったアザが、赤紫色に染まっていて、見るからに痛々しかった。



そのアザに、そっとヒロの掌が重なると、、





ヒ:〇〇…キスしよっか?

〇:えっ、、キスって…?





この状況で「キスしよう」と言うヒロに、私は戸惑っていた。



だって、今しようと言ってる「キス」って…





あの、、
出逢った時の、、、「キス」のことでしょ?





ヒ:大丈夫。、、俺だけを、感じて?





ベッドに腰掛けたヒロの手は…

私の首すじを掠めると、髪の隙間を埋めるように指を滑らせた。





私はもう!

ヒロの唇から、目が離せなかった!






*314*



緊張で、キュッと上がった肩。



伏し目がちに 引いたアゴ。



傾く鼻先。





ヒロの唇は、私の唇を引き寄せ、フワッとすくい上げた。





キュンっ♡





はっきりと、そんな音が聞こえた。






ヒロの誘導が、私の唇を柔らかく変えていく、、、







「〇:すき…」







心が そう呟いた瞬間、、、










ピキーーーーーーーーンッ!!!











電流の様な、、
一本の長い針金の様なものが、、



頭の先から、足の指先へと身体を抜けていった。






ビックリして目を開くと、、






ヒロの瞳が、キラキラと透き通って見えて…



この世の中の、何よりも美しく感じた。








腕のアザに被さっていたヒロの手をどけると…



赤紫色に痛々しかったアザが、薄っすらとしたピンクに変わっていて、



少し動かしても、さっきの激痛は無かった。






*315*




ヒロは、薄くなったアザの上に、さっき買ってきた湿布を貼りながら、





ヒ:あ〜あ。俺、完全にルトゥに戻ってもうたなぁ〜





残念そうに、でも少し冗談っぽく、そう言った。





〇:ヒロ?

ヒ:ん?

〇:私を、、守ってくれる?

ヒ:…おん。おいで?





両手を軽く広げ、天使かと思える程の笑顔を見せた。







ヒ:ずっと、側に居る。、、月に行っても ずっと…




〇:うん//









ヒロに包まれる心地よさは…



今までの悪夢が全て、浄化されていくかのようだった。







ヒ:すきだよ//




〇:私も///…すき♡













考えてみたら『やっと』なのかも知れない。






安定した幸せ♡
















〇:あっ!!!23:59!!!


ヒ:ホンマや!







私達は、ふたりで秒針を見つめた。




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