第83話

『君月』381〜385
107
2022/03/08 13:37

*381*





、、ん?、、、暖かい…





頬に触れた感触。



絵もいわれぬ安心感に包まれ…



その手に自分のを重ね、目を開けた。






シ:、、、体調悪いんか?






その、あまりにも優しい声に、また溢れ出した涙。





〇:夢を見ていたの…

シ:…、、、泣いとったで?

〇:そう…?、






大毅が拭ってくれた涙は…




ヒロを探して号泣していた夢の、

カケラだった。







シ:しんどいんやな?







〇:、、、…うん。









あの時のヒロ…



瞳の色が違ってて…






まるで…、、、、、『アカツキ』







今思えば、何かに取り憑かれていたみたいに…






ウッ!!!


そんな事を考えていたからか、私は吐き気を催し、起き上がった!






シ:〇〇っ!、、気持ち悪いんかっ?






*382*





口に手を当て、コクン…とうなづくと、





シ:ま、待っとれ!、バケツか何か持ってくる!





と、慌てて行こうとする大毅の、服を掴んだ。






〇:大毅、もう大丈夫、、、行かないで…






側に居て欲しかった。






シ:〇〇…お前……まさか…








心細くて、心細くて…









シ:そう…、、、なのか…?






〇:、、、、、うん。…













知らない星で、たった一人でヒロの子を…









悪者だとレッテルを貼られた人の子を…









何もできない私が…








守ってあげられる気が、、、しなかったんだ。







シ:なぁ、、もっと早よ言えや…

〇:・・・だって…

シ:だってやあらへんねん。そうやって、ひとりで抱え込むなよ…

〇:そんな言えないよ。、、この子…守りたいから…







怖かった。




降ろせと言われるに決まってる。






*383*





シ:命、授かってんねんで?





やっぱり…
大毅、、反対するよね。













ゴメン…




ごめんね…




やっぱり、あなたを守れそうにないよ…




せっかく…




私を選んで、来てくれたのに…







お腹に手を当て、心で語りかけると、

大粒の涙が、一気に溢れだした。



















シ:、、公務とか、しとる場合やないやろ?






〇:、、、…え?






シ:え?やあらへん!とにかく、しんどいなら横になっとき!







と、私をソファーに横たわらせると、

そっと手を取り、優しく撫でた。






〇:、、、反対…しないの?







その行動に、呆気にとられていた私に、ニカッ!っとし、







シ:家族や。






と、私のお腹に そっと触れた。







シ:家族は、、、俺が守る!









ありがとう…



本当に、、ありがとう…










こんなにも、心でありがとうと呟いたのは、これが初めてだった。









*384*




桐:おい シゲっ、、、シゲぇッ!!!

シ:何やねん、ウルサイなぁ〜

桐:コレなんや?

シ:あっ、バレたぁ??

桐:っ、ちょけんな!







どうやら桐山さんは、怒っているらしい…


けど、次には小さな声になり、






桐:そうやないかなって、気付いとったんやけど……姫様、自分からは言い出しにくいみたいやったし…女性の大尉があるのを、側近で付けようか迷っとったんや。






地球からの物資調達部隊みたいな人たちがいて、


その中のリストに、私のマタニティグッズが、いつのまにか、ズラッと記載れていたらしい。




こうして、桐山さんにもバレたんだけど…







〇:、、、反、対……ですよね……?






私はうつむいた。




大毅の権力でも、コレばっかりは…

てか、大毅に権力あんの?






桐:とりあえず、リストは…







*385*



桐:リストは そのままにしといたけども?!、、なにか?







〇:っ、、、それって…








桐:公務も減らそ?






〇:えっ、、でも…






桐:今の時期は、辛いんやろ?、、つわりとか。





桐山さんは優しく微笑み、私の肩に乗っていた荷物を、降ろしてくれたようだった。






〇:は、はい!、、あの、、ありがとうございます!!!

桐:お礼なら、シゲに言ってくださいませw

シ:ほうら!俺に任せときゃええねん!






大毅は腕をポンポンっと叩きながら、ドヤ顏をした。





、、大毅に権力……あった!w





こんなに、すんなり受け入れてくれるんなら、ひとりで悩む必要なんて無かった!









それからの私は、お腹の子が健やかに育っていくことだけを願って過ごした。






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