*381*
、、ん?、、、暖かい…
頬に触れた感触。
絵もいわれぬ安心感に包まれ…
その手に自分のを重ね、目を開けた。
シ:、、、体調悪いんか?
その、あまりにも優しい声に、また溢れ出した涙。
〇:夢を見ていたの…
シ:…、、、泣いとったで?
〇:そう…?、
大毅が拭ってくれた涙は…
ヒロを探して号泣していた夢の、
カケラだった。
シ:しんどいんやな?
〇:、、、…うん。
あの時のヒロ…
瞳の色が違ってて…
まるで…、、、、、『アカツキ』
今思えば、何かに取り憑かれていたみたいに…
ウッ!!!
そんな事を考えていたからか、私は吐き気を催し、起き上がった!
シ:〇〇っ!、、気持ち悪いんかっ?
*382*
口に手を当て、コクン…とうなづくと、
シ:ま、待っとれ!、バケツか何か持ってくる!
と、慌てて行こうとする大毅の、服を掴んだ。
〇:大毅、もう大丈夫、、、行かないで…
側に居て欲しかった。
シ:〇〇…お前……まさか…
心細くて、心細くて…
シ:そう…、、、なのか…?
〇:、、、、、うん。…
知らない星で、たった一人でヒロの子を…
悪者だとレッテルを貼られた人の子を…
何もできない私が…
守ってあげられる気が、、、しなかったんだ。
シ:なぁ、、もっと早よ言えや…
〇:・・・だって…
シ:だってやあらへんねん。そうやって、ひとりで抱え込むなよ…
〇:そんな言えないよ。、、この子…守りたいから…
怖かった。
降ろせと言われるに決まってる。
*383*
シ:命、授かってんねんで?
やっぱり…
大毅、、反対するよね。
ゴメン…
ごめんね…
やっぱり、あなたを守れそうにないよ…
せっかく…
私を選んで、来てくれたのに…
お腹に手を当て、心で語りかけると、
大粒の涙が、一気に溢れだした。
シ:、、公務とか、しとる場合やないやろ?
〇:、、、…え?
シ:え?やあらへん!とにかく、しんどいなら横になっとき!
と、私をソファーに横たわらせると、
そっと手を取り、優しく撫でた。
〇:、、、反対…しないの?
その行動に、呆気にとられていた私に、ニカッ!っとし、
シ:家族や。
と、私のお腹に そっと触れた。
シ:家族は、、、俺が守る!
ありがとう…
本当に、、ありがとう…
こんなにも、心でありがとうと呟いたのは、これが初めてだった。
*384*
桐:おい シゲっ、、、シゲぇッ!!!
シ:何やねん、ウルサイなぁ〜
桐:コレなんや?
シ:あっ、バレたぁ??
桐:っ、ちょけんな!
どうやら桐山さんは、怒っているらしい…
けど、次には小さな声になり、
桐:そうやないかなって、気付いとったんやけど……姫様、自分からは言い出しにくいみたいやったし…女性の大尉があるのを、側近で付けようか迷っとったんや。
地球からの物資調達部隊みたいな人たちがいて、
その中のリストに、私のマタニティグッズが、いつのまにか、ズラッと記載れていたらしい。
こうして、桐山さんにもバレたんだけど…
〇:、、、反、対……ですよね……?
私はうつむいた。
大毅の権力でも、コレばっかりは…
てか、大毅に権力あんの?
桐:とりあえず、リストは…
*385*
桐:リストは そのままにしといたけども?!、、なにか?
〇:っ、、、それって…
桐:公務も減らそ?
〇:えっ、、でも…
桐:今の時期は、辛いんやろ?、、つわりとか。
桐山さんは優しく微笑み、私の肩に乗っていた荷物を、降ろしてくれたようだった。
〇:は、はい!、、あの、、ありがとうございます!!!
桐:お礼なら、シゲに言ってくださいませw
シ:ほうら!俺に任せときゃええねん!
大毅は腕をポンポンっと叩きながら、ドヤ顏をした。
、、大毅に権力……あった!w
こんなに、すんなり受け入れてくれるんなら、ひとりで悩む必要なんて無かった!
それからの私は、お腹の子が健やかに育っていくことだけを願って過ごした。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。