プルルル…プルルル……
私は重たい瞼を少し開けて
手をバタバタとさせながらスマホを探す
真っ暗な部屋にスマホの画面が眩しくて
上手く画面を見れない…
そうしてる内に電話が切れて
誰だったのか確かめる事もせず、
重たい瞼を閉じた……
瞬間、またスマホがブルブルと振動し
プルルル…プルルル………
となる。
はぁ、誰だよっ
って心の中で思いながらも
よくよく画面をみると
名前はない…………でも、知ってる番号……
この番号からの電話は本当に久しくて
どうしたんだろぅ?
心配になって、通話ボタンをタッチする
私はベットをゆっくりと出て
リビングに行く
電話の主は一年程前に別れた彼氏だった
彼は心底疲れた時に
よくこうやって電話をかけてきた
基本ポジティブで前向きで明るく振る舞ってる分
自分の疲れには鈍感で
あとで跳ね返ってくるタイプ
心が優しい証拠ではあるんだけど
ツーツーツー
呼び止めようと声が出る前に
切られてしまった……
用事って、「会いたい」だったのかな?
画面をタップして
かけ直そうと、思ったけどやめた
違うと感じたからだ……
ベットに戻ると、中にいた男が
電話?こんな夜中に?
と、言ってくる。私は「友達」なんて言ってみる
男は「ふーん」と言って
自分の横にくるようにトントンとベットを叩いた
そう言って、私を後から強く抱きしめる
私は「帰る気ないじゃん…」と言って
二人でまた眠った…
朝、彼はいつもの様にキッチンでコーヒーを
淹れていた
玄関までは見送らない
彼氏じゃないし、
私はスマホの着信履歴を見て
ジェシーに掛けるか悩んでたら
まだ、鍵をしめてない玄関から
北斗の声
慌てて玄関へ行くと
いきなり、何を言うのかと思ったら
そんな事だった、北斗にしては珍しくて
驚いた
そう言って、見送った。
北斗を見送るのは初めてかもなんて
思って、スマホの時計をみると
やばっ!
急がないと私も遅刻するっ!!
そして、ジェシーからの電話は
こなかったし、しなかった…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!