第111話

北斗🦅エレベーター
3,090
2021/08/29 20:03
今日も撮影で朝から仕事

連日の撮影でも最近は気になる事があるから
疲れるどころか朝はむしろウキウキで起きている


7:20
そろそろ迎えがくるからエレベータに乗り込む


そうすると平日だと必ず下の階で女の子が乗ってくる
彼女は俺の顔も見ず会釈をして乗り込むと

スマホを取り出し、音楽をかける


何を聞いてるのかは、もちろん分からないが
想像はついてる


SixTONESだ



なぜ、それが分かるかというと
音楽をかける時に見えてしまう待ち受け画面に
京本の写真が見えるからだ



あぁ...
京本担か...
なんて



そりゃ、別に?
俺のファンばかりじゃないなんて分かってはいるけれど
ここに、俺がいるのになんてさ



でも、朝からオレらの曲聞いてくれてるなんて
(まぁ、実際は違う曲かもだけど...そこはね)
嬉しいじゃない


朝しか会えない女の子
なかなかコレ、結構オレ的にキテルわけで



そんな日々が続いたある日

23:00

今日も遅くなったとエレベーターの前で待っていると
後ろから足音



げっ、俺今日はメガネも帽子も無しじゃん

少し俯き、隣に立つ人の足元を見ると
女の人...



その靴には少し見覚えがあって


あっ!?あの子だ!!
少し横目で見て見ると彼女はただ、真っ直ぐに
エレベーターの数字が降りてくるのを見てる


相変わらず、耳にはイヤホンが...
この子は有線タイプのイヤホンを使っていて
それも俺的に心が揺さぶられる




チンッ🛗





あなた

あー、お先にどうぞ...

北斗
北斗
えっ?あぁ、じゃあ。
あっ!でも、後ろに男立つの
嫌じゃありません?
あなた

いや、だって...朝いつも
後ろに...

彼女は俺が立っている方のイヤホンだけを外し
こちらを見る



初めての会話
初めて視線が合う
あなた

っ....!!

彼女は目が合って、
?の顔...


流石にバレたか?


でも、彼女はいつも見せる朝の顔に戻って
あなた

.....じゃぁ、
先に失礼します

えっ?バレてない?

ありゃ?自意識過剰か?
北斗
北斗
あぁ、じゃ、ハイ
と、右手で
どうぞ、どうぞと促す


その瞬間、エレベーターが閉まって
ボタンを押そうと腕を伸ばすと彼女も伸ばしてきた



すると、案の定指先が触れるわけで....
北斗
北斗
あっ、ごめん...なさい
あなた

いや...私こそ...
ご...めんなさい...

二人して沈黙で
居た堪れなくなった俺は
もう一度ボタンを押す


あなた

ありがとうございます

と、彼女はそそくさと乗り込むもんだから
それを見て、俺も乗り込む



急いで、閉ボタンを押して
階数のボタンが一つも光っていなくて
思わず、彼女の階と自分の階を押してしまった



やべっ!これじゃ認識してますって感じで
親切通りこして怖くない?
大丈夫かな?って、彼女の反応を伺うと



ありがとうございますって感じの会釈...
でも、視線は合わせてくれなくて



ちょっと、ムッとした

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