『ただいま。』
てひょんおっぱの家に帰ってくると
🦁「おかえり!!」
と、帰ってくる言葉。
何故だろう。
こんな普通の事でとても嬉しくなるんだ。
最後に母親から聞いた おかえり はいつ頃だったっけ
もうしばらく言われてない言葉に歯がゆさを感じた。
🦁「じゃーん!!」
自分で効果音を出して皿を私にみせてくる。
『!!』
そこには、少し形が歪なハンバーグがあった。
盛り付けはそこそこだ。
『こ、これ、おっぱが作ったの…?』
🦁「うん、初めて記念日じゃん。今日が」
『?』
🦁「今日、頑張ったね、学校!!」
『っ……』
その言葉は、温度に例えきれないぐらい暖かい言葉だった。
その言葉は私の涙腺を破壊した。
🦁「あ!!また泣いた!!」
🦁「あ〜、ごめん ごめん笑」
🦁「あなたはまだ赤ちゃんだものね〜笑」
なんて、私を小さい赤ちゃんのようにあやす おっぱ。
いつもなら、イライラしてしまう言葉だけど
今日はそんなあやし方がとても心地よく感じた日であった。
『ありがとう……』
感謝を素直に伝えてみると
🦁「ふふっ笑 こちらこそ笑」
なんて笑顔を私に見せてくれるんだ。
これほど素敵な事を知らなかった私は
また、得体の知らない感情が込み上げて涙した。
そう、これはきっと 嬉し涙 なのだ。
その日、てひょんおっぱが作ってくれたハンバーグは
形は歪であっても、味はとても美味しく感じた。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。