第2話

🍏₁
592
2022/09/21 11:00
あの日、私は初めて一目惚れをした。


無造作にかき上げられたプラチナブロンドの髪。
まるでサファイアが埋め込まれているかのような、青く輝いている瞳。
スッと通った鼻筋に、知的な印象を与える尖った顎。



彼のすべてが私の心を掴んで離さなかった。


フローレンス・ウィンダム
フローレンス・ウィンダム
ねえ、あなた!話聞いてた?

ここは大広間。
フローラが机の反対側で軽くこちらを睨んでいる。


ほんのり赤く色づいた唇を控え目に尖らせる彼女は、女の私でも惚れてしまいそうなくらい可愛らしい。
あなた
あぁごめんフローラ、ちょっとぼーっとしてて、、笑

誤魔化すようにして綺麗に並べられた糖蜜パイの皿から小さいものを1つ取り微笑んでみせたが、彼の姿が頭から離れない。


ついフローラの奥にいる彼に視線が移る。
フローレンス・ウィンダム
フローレンス・ウィンダム
どうしたの?
フローレンス・ウィンダム
フローレンス・ウィンダム
まさか、あなたが見つめてるのってあのプラチナブロンドの彼?

気づけばフローラは私の視線の先を追いかけ、スリザリンのテーブルを眺めていた。
あなた
みっ、見つめてなんかないわよ!///
フローレンス・ウィンダム
フローレンス・ウィンダム
あなた、顔が真っ赤よ((フッ
あなた
はぁ、だめね、フローラには誤魔化せないわ((フフッ

フローラは少し迷っているような表情をした後、持っていたナイフとフォークを置き、上半身を机の上に乗り出すようにして顔を近づけてきた。
フローレンス・ウィンダム
フローレンス・ウィンダム
彼はドラコ・マルフォイ。純血一族よ。
フローレンス・ウィンダム
フローレンス・ウィンダム
裕福な純血至上主義。私の親がマルフォイ家と関わりがあるけど、あまりいい印象はないみたいだわ。
あなた
純血至上主義…


私は半純血だ。

父と母のことは覚えていないが、孤児院から私をホグワーツへと導いてくださったダンブルドア先生がそう言ったのだから、間違いはないだろう。


純血でなければ、純血至上主義のマルフォイには相手にしてもらえないかもしれない。


自然とそんな考えが頭の中に浮かび、胸がなにかに締め付けられるかのように苦しくなった。
フローレンス・ウィンダム
フローレンス・ウィンダム
大事なのはそこじゃないわ、マルフォイの狡猾さはホグワーツ中に知られているのよ?関わらないほうがいいわ。
セドリック・ディゴリー
セドリック・ディゴリー
全くその通りだ。
フローレンス・ウィンダム
フローレンス・ウィンダム
セドリック、!
いつの間にか私の隣に座っていたセドリックに、フローラが頬を赤らめる。





ハッフルパフ寮の4年生、セドリック・ディゴリー。



何故か入学当初から私達のことを気にかけてくれていて、とっても頼れる先輩だ。

談話室で話しかけてくれたり、課題を手伝ったりしてくれている。


"ハッフルパフの王子様"と呼ばれている彼は、勉強も運動も学年トップ、おまけに顔も性格も良い。




なんでも完璧にこなしてしまう彼にフローラは心を惹かれていると、彼女の様子見ていればすぐわかる。
あなた
こんにちは、セドリック。いつから聞いてたのよ
セドリック・ディゴリー
セドリック・ディゴリー
あなたが顔真っ赤にしてる、ってフローラに言われたとこらへんかな?
あなた
ほぼ全部じゃない!//
なんでも話せる間柄だったセドリックとは先輩後輩という関係を超え、友達として仲良くしていた。

いや、友達以上かもしれない。まるでお兄ちゃんのように慕っている彼に、マルフォイへの恋心を知られた。



なんとも言えない恥ずかしさが一気に込み上げ、私はついセドリックから顔を背けた。
フローレンス・ウィンダム
フローレンス・ウィンダム
もう一度忠告しておくけど、マルフォイはやめておいた方がいいわ。
セドリック・ディゴリー
セドリック・ディゴリー
同感。
あなた
…ありがとう、2人とも。
あなた
でも私、噂だけで人を判断するなんてことしたくないわ。


つい体に力が入り、持っていたフォークをぎゅっと握りしめた。

フローレンス・ウィンダム
フローレンス・ウィンダム
ごめんなさい、でもあなたを思って言っているの。


さっきまでの態度とはすっかり変わり、フローラは申し訳なさそうに俯いている。


子犬のようにちっちゃく丸まる彼女を見ていると、なんだかこちらの力も抜けてくる。
あなた
ふふっ、わかってるわ。((ニコッ
セドリック・ディゴリー
セドリック・ディゴリー
まあ、今のあなたには何を言っても聞こえないだろうしな。
セドリック・ディゴリー
セドリック・ディゴリー
じゃあ、僕はもう行くよ
フローレンス・ウィンダム
フローレンス・ウィンダム
また談話室で会いましょう、!
セドリック・ディゴリー
セドリック・ディゴリー
もちろんだ、良いランチタイムを!

爽やかに手を振りながら去っていくセドリックを、フローラはとろんとした目で見つめている。

フローレンス・ウィンダム
フローレンス・ウィンダム
はぁ…今日も素敵ね
あなた
フローラったら、顔に出すぎよ((フフッ
フローレンス・ウィンダム
フローレンス・ウィンダム
うそ…!それ本当?
そんな他愛もない話をしているときだった。



もともと赤い頬をさらに赤く染めているフローラの後ろから、どこかで見たことがある男の子が、こちらへ近づいてきた。


誰だっけ、あの人。思い出せない…。

そんなことを考えていると、彼が話しかけてきた。
???
こんにちは、あの、もしかしてあなた?
あなた
…すみません、どなたですか?
私の名前を知っている…??
私はそんなに有名人じゃないわ…。


フローラもきっと同じことを思っているはずだとフローラの方を向いたが、彼女は何かを知っているかのように目をぱちぱちとさせていた。

フローレンス・ウィンダム
フローレンス・ウィンダム
あなた、ハリー・ポッターね…!
ハリー・ポッター
ハリー・ポッター
うん、あ、えっと、はじめまして、
ハリーって呼んで
フローラとハリーはにこやかに握手を交わしている。



ハリー・ポッター…どこかで……









思い出した。ハリー・ポッター、彼は……!



その瞬間私はいてもたってもいられなくなり、食べかけの糖蜜パイを置き、立ち上がった。
あなた
ごめんなさいフローラ、先に談話室に戻ってるわね…っ
フローレンス・ウィンダム
フローレンス・ウィンダム
え!ちょっとまって…!あなた!


叫んでいるフローラを無視し、私は談話室へと走った。


ごめんね、フローラ。


でも私はこれ以上あの場にはいられない。耐えられない。






あなた
はぁ…はぁ…
久しぶりにこんなに走ったな…そんなことを考えながら、私はベッドへ倒れ込んだ。









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はじめまして、作者です(*´ `)


いつも小説は自分だけで楽しんでいるのですが、たまには公開してみるのもいいなぁと思い連載始めてみました!



ゆるゆる更新で続けていきたいと思いますので、末永くよろしくお願い致します‎☺︎

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