『密室』
リヴァイside
先ほどまで奇行種の世話をしていた。
部屋を汚くすることしか出来ねぇ奇行種は毎度俺を困らせてくれる。
そろそろこの大陸に残る最後の奇行種を狩らねぇといけねぇ時期か。
潔癖症の俺の前でよく部屋を汚くできるものだ。
その点マリアの部屋は綺麗だったというかそもそも物が少なかったというか。
そして今、見知らぬ汚い部屋で目が覚めた。
リヴァイ:チッ(ここどこだ、、?)
辺りは一つの電灯以外光がなく、薄暗い。
窓も扉らしきものも見当たらず、脱出する手立てが今のところ見つかっていない。
そんなときだった。
マリア:ん、、リヴァイ兵長、、?
リヴァイ:マリア?
本などの物がたくさんある汚く薄暗い部屋だが、一応奥まで見える。
隅の方にマリアがうずくまっていた。
マリアのいる方へ行くと、近くに髪の色が異様な色をしている男が、、
マリア:あれ、焦凍もいる。
リヴァイ:マリア。ここがどこか知っているか?
マリア:いえ、、暗いですね。
リヴァイ:あぁ。それと埃がすごい。
マリア:、、、やるんですか。
リヴァイ:やらないという選択肢があるわけがない。部屋を探したが先ほど箒があった。俺は本を棚にしまう。マリアは掃け。
マリア:分かりました。
俺の指示通り、起きたばかりだが箒を見つけて掃き始めるマリア。
チッ、綺麗な布がねぇと掃除中に埃を吸い込んじまう。
マリアの恋人となった轟という男はまだ起きねぇのか。
、、、起こすか。
リヴァイ:マリア。轟を起こせ。
マリア:分かりました。
マリアは箒を手に持ったままと轟に近づき、頬を叩いたり肩を揺すぶる。
すると次第に目が覚めて来たのか、轟は起き上がり、周りを見ていた。
焦凍:、、、マリア?
マリア:リヴァイ兵長もいる。
焦凍:リヴァイ兵長?、、、ここどこだ?
マリア:分からない。窓も扉もないらしいの。それよりもまず、この部屋を掃除しないといけないの。焦凍も手伝って。
焦凍:ぇ、、部屋を掃除すんのか?まずは掃除じゃなくて部屋をくまなく探して何か脱出の手がかりになるものを探すんじゃ、、
マリア:リヴァイ兵長が部屋を掃除すると言ってるんだから掃除しないと。
焦凍:そういう物なのか?
マリア:そういうものだと思う。
焦凍:そうか。
密室に閉じ込められる。
こんな経験は今回が初めてだが、いかなるときもまずは、、掃除だ。
轟も加わり掃除速度が速くなった。
数十分後、端から端まで見渡せるほど部屋が片付いた。
焦凍:これからどうするんですか?
リヴァイ:いや。まだ終わっていない。
焦凍:?
棚や机、部屋の隅に指を走らせる。
リヴァイ:、、、ここ。まだ埃が残っている。
マリア:はい。
リヴァイ:ここ。
マリア:はい。
リヴァイ:、、、掃きは全てやり直しだ。轟。お前もマリアを手伝え。
焦凍:は、はい、、、?
さらに数十分後。
マリアの『終わりました』という言葉で再度様々なところに指を走らせる。
、、、まぁ、ここに水道はないし、それにしては上出来と言って良いだろう。
リヴァイ:良いだろう。
焦凍:あの、、どうして掃除を?
リヴァイ:埃が溜まっているのが気に入らねぇ。部屋も汚い。それを見て掃除しないわけがない。
焦凍:そうなんですか、、?
すると、何故か部屋中に煙が蔓延し始めた。
次に目が覚めたときには、見知った自室だった。
汚い部屋に閉じ込められるのは気分の良いことじゃないが、久しぶりにマリアに会えたことだけはまぁ、、悪くない。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!