第20話

空を飛びたいと思ったのは馬鹿だった
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2020/05/15 13:31
蘭竜くんが屋上を去って、私は一人屋上に残された。
『(蘭竜くん…、周りの人を拒絶したくてしてるわけじゃなかったんだね…)』
『(私にできること、何かないのかな…)』
そう思いながら、さっきは蘭竜くんで隠れて見えなかった広くて青い空を寝転んだまま見上げた。
『綺麗だなぁ…、飛んでみたいくらい。広人と一緒に見られたら、もっと綺麗だったのかな…』
自分でも知らないうちにそう呟いていて、ツンと鼻の奥が痛んだ。
手を空へ向かって伸ばす。
『仲直り、したいよ…』
『寂しいよ…』
涙が目から一筋流れて、髪の毛をぬらした。
ガチャリ
その時階段に続くドアが開いて、誰かがはいってきた。
体を起こしてそちらを見ると、
「泣き虫が」
爆豪くんがそこに立っていた。
『えっ、うわ、爆豪く…なんでここに?』
爆豪「……………悪かった」
『へ?』
爆豪「悪かったっつってんだろーが」
『え?あの、ホントに爆豪くん?』
爆豪「当たり前だろぶっ殺すぞ」
『語尾にビックリマークついてないけど大丈夫…?』
爆豪「ふざけてんのか?」
『ちちち違うよ!だって何で謝られてるかわかんないし!』
爆豪「……………は?」
ポカンとした顔で私を見る爆豪くん。
……待って状況が読めない
『え?爆豪くん私に何かしたの?』
爆豪「…………気付いてねぇのかよ(ボソッ」
『へ?』
爆豪「んでもねぇ!」 
『ひゃ、戻った…』
爆豪「腹黒は?」
『先帰っちゃった…』
爆豪「じゃ追いかけんぞ」
『えっ?!いや…間に合わないだろうし…、それに気まずムゲッ』
オタオタしていたら爆豪くんに口を塞がれてしまった。
爆豪「黙って捕まってろクソが」
『う…はい』
爆豪くんは私の腕を自分の首に巻かせる。
…………ん?まてよ?ここはどこだ?
そう思った瞬間、爆豪くんは手から大きな爆発を起こした。
足が宙に浮き、足下に地面がなくなる。
ここは____
『屋上だぁぁぁぁあ!!』

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