第25話

温かい手
915
2019/12/04 22:55
『………あっ!やっと戻ってきた…ってえ?』
間「ごめんあなた、お待たせ。どうかした?」
『いや!何でもないよ~アハ』
爆豪「……」
『(二人の雰囲気がさっきよりもまして険悪になってる…)』
______
『もう四月なのに、全然温かくならないね』
間「な、ポケットが尊い」
爆豪「運動してりゃ変わんねぇだろ」
間「言葉には気をつけなよ爆豪くん?ニコ」
『そっか、ヒーロー科爆豪くんは運動してばっかりなのか…それなのに飛ばして貰っちゃって、ごめ…』
爆豪「あぁ?」
『じゃなくて、ありがとう』
間「あなた、今日の朝手袋してったの?」
『ううん、してないよ』
間「女子のスカート片方にしかポケットないけど、大丈夫だった?」
『右手は凄い冷たくなったけど、左手は…(あっ、ここで緑谷くんの名前出すと爆豪くん怒るかな…)コソッ緑谷くんが左側に居てくれたから大丈夫だった』
間「ふーん」
ギュッ
『!』
間「今もちょっと冷たくなってるよ」
広人の温かい左手が、昨日みたいに私の手を包んでくれた。それがどうしようもなく嬉しくて、
『ふふ、広人大好きー!!』
と、広人の腕に抱きついた。
グイッ
途端、左側から引き剥がされた。
爆豪「俺を無視すんじゃねぇモブどもが!」
そう言いながら、爆豪くんが更に広人ごと私を引っ張って、その瞬間すぐ横を自転車が通り過ぎた。
爆豪「危ねぇだろうが、横になって歩くんじゃねぇ!」
本当は優しいのに。照れ屋さんだなぁ。私と広人は同じことを思っていたのか、顔を見合わせて笑いあった。すかさず気持ち悪ぃ、と爆豪くんがツッコむ。
『……幸せだなぁ』
私は微笑みながら、しみじみと呟いた。
間「何か言った?」
爆豪「さっきからコソコソしやがって」
『ごめんごめん、何でもない』
そう言ってごまかして、私は二人ににっこりと笑いかけた。
『ねぇ、ここからは三人で汽車みたいにつながって歩こうよ!それなら安全じゃない?』
私は「はぁ?!」と拒否する爆豪くんの肩に半ば無理矢理手を置いて(でも最終的にはよけなかった)、広人も「すげー久しぶりだな、はずい」と言いつつ私の肩に手を置いた。
触れている所から、二人の温もりが伝わってくる。
この時間が、ずっと続くといいな___。

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